大学生の頃の話。私はバンドサークルに所属していた。
バンドサークルだからといって全員が高い技術を持っているわけではないし、音楽に造詣が深いわけではない。私もロクに練習をしないドラマーというクソみたいな立場であった。
そんな人間模様の中、友人Nの話。彼もまた音楽への愛はあまり深くなく、ギターの技術も今ひとつだった。
彼は三年生の頃一念発起し、青いリッケンバッカーを購入した。確かモデルは620 Blue BurstでRテールピース搭載。音はともかく格好良いギターだった。アルバイトをしていたわけでは無かったから、おそらく奨学金や学生ローンを利用したのだろう。ギターにあまり真面目で無い彼が何故そんな買い物をしたのかは誰にも分からない。まあ良いギターが欲しかったとか、ギターに真面目に取り組もうと決意したのであろう。それにしても三年生でそれをやるとは少々遅い気もするが。
ライブ前、彼は弦交換をしていた。
・・・開始から30分。
友人Mと私「結構かかるな、やっぱリッケンバッカーって難しいの?」
友人N「ああ。」
・・・開始から1時間。
友人Mと私「まだやってんの?」
友人N「ああ。」
・・・開始から1時間超。
友人Mと私「お前いい加減に・・・」
友人N「うるせえ!!」
彼はRテールピースのあまりの難しさと急かす我々に、とうとうキレてしまったのである。
確かにRテールピースの弦交換は単純にムズい。ブリッジカバーがあると更にムズい。
どういう事なのかというと、Rテールピースは弦のボールエンドを引っ掛けているだけだからだ。ボールエンドを引っ掛けて、ブリッジカバーの間を通す。そしてペグに巻き付ける。この間に力が緩むと、ボールエンドが外れてしまう。しかもテールピース自体もボディエンドの金具に引っ掛かっているだけ。弦の張力が無ければポロッと簡単に外れる。
力が緩むと弦が外れる。更に力が緩むとテールピースが外れる。そうしてポロリを繰り返してしまうのだ。
ちなみにポロリを防ぐには、弦を全部切らずに一本ずつ交換するなどの手法があるが、心理的には全部切ってからメンテナンスをしたいというもんだ。
結局友人Nは初めての弦交換に1時間半はかかった。気持ちは分かるが、いかにリッケンバッカーの弦交換が難しいとはいえかかりすぎである。
ちなみにグレッチの弦交換もめちゃムズい。ビグスビーもまた弦を引っ掛ける構造なのでポロリしやすい事、弦を曲げる必要がある事、バネの張力がある事、ブリッジが動き回る事など。私は30分近くかかる。
私のグレッチと、友人のリッケンバッカー。
どちらの弦交換が早いか、一度勝負してみたいものである。
コメント
Bigsby系の弦交換はクロスを挟んでボールエンドが外れないように固定すると楽と友人から聞きました。(試しにbigsby 弦交換 クロスで調べてみるとそれらしい画像がちらほら…)自分も憧れのパーツなのでいつか手に入れたいです。
クロスを挟むのはよく聞きますね。ただ意外とそれも面倒で、私は弦を90度曲げるだけで十分でした。
根本的に解決するにはストリングスルービグスビーしかないような気がします。なかなか楽はできないものですね。