ファッション

Schottのサイズ選びについて

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革ジャンの中でも、とりわけSchottのライダースジャケットといえば古くから愛好家が多く、その情報は充実している。

しかしそれはマニア向けに偏りがちで、初心者に優しくないというのが実情である。

この記事ではSchottの613を中心に、モデルごとのサイズ感について基本的な知識を共有する。

サイズ表

以下は、日本サイズとUSサイズの換算表だ。

日本サイズUSサイズ
XS34
S36
M38
L40

これに従えば、大きく外すことはないだろう。

しかし今回注目したいのは、モデルごとの相対的な違いである。

オリジナルの613について

Schottのモデルは基本的に3桁の数字で表される。

特に代表的なのが613だ。

これは世界で初めてフロントジッパーを搭載したライダースジャケットであり、全てのライダースにおける王道だ。

「Schottに始まりSchottに終わる」とまで言われる程だ。

613最大の特徴は、エポレットに付いた星型のスタッズ。

これが日本における「ワンスター」という愛称の由来だ。

だから初のライダースに迷ったら、これを選んでおけば間違いない。

よく似たモデルとして618があるが、目立つ違いはスタッズの有無とスナップボタンの数くらいで、その他は微差だ。

アームホールの重要性

オリジナルの613には、結構な癖がある。

特筆すべきはアームホールの太さと着丈の短さで、上部にボリュームが集中しているのだ。

全体的に丸っこく、極太のアームホールが形成する過剰なまでの逆三角形は、まさしく「バイクウェア」と呼ぶに相応しい。

しかしこの特徴的なシルエットが、小柄な日本人には合わせづらく、普段使いを難しくしている。

私自身、それを知らずに1980年代の613を購入したことがあるが、肩回りのボリュームが過剰でうまくコーディネート出来ず、泣く泣く手放したのであった。

しかしこれも、貴重な経験だ。

仕上がり寸法は調べれば簡単に分かるが、実際の印象はやはり自分で着てみないと分からないものだからだ。

ちなみに、現行品のアームホールはそこまで太くないらしい。

時代とともにデザインが改良され、よりスタイリッシュに進化しているようだ。

日本専用モデル:613USと613UST

これらは日本専用のモデルであり、上野商会の別注品だ。

USは上野商会の頭文字で、日本人向けにフィッティングを変更している。

USTはそのトールサイズで少し丈が長い。

613US

オリジナルの613は、日本人にとってはコーディネートが難しかった。

それを全体的にシュリンクし、日本人の体形にマッチさせたのが、この613USだ。

613USでは、オリジナルの613よりも肩幅を約1cm、袖丈を約2cm、アームホールを約2cm、身幅を約3cm絞り込んでいる。

数字で見ると僅か数センチの差であるが、洋服の世界においてそれが与える影響は絶大であり、シルエットは大きく異なる。

更に単なるリサイズに留まらず、1960〜1970年代のヴィンテージ仕様のディテールを復活させているという拘りようだ。

613UST

613USをベースに肩幅を約1cm詰め、着丈を約2.5cm、袖丈を約2cm延長し、トールサイズになったのが613USTだ。

ヴィンテージ仕様のダブルライダースといえば、バイクの乗車姿勢に合わせた短い着丈が特徴である。

しかしこのモデルでは全体的に長く設定することで、現代のファッションにも合うスタイリッシュなシルエットになっている。

日本においては、この613USTこそがデファクトスタンダードだ。

アメリカ向けと日本向けの比較

左がオリジナルの618で、右が日本向けの613UST。

型番違いになるが、その差分はどれも似たようなものだから比較は可能だ。

これは両者共に36インチだが、そのシルエットは全く異なる。

アメリカ向け製品は着丈と袖丈が極端に短く、アームホールがとても太い事が分かる。

対して日本向けのUSTは全体的に縦に長く、アームホールも細くなっている。

画像で分かるほどの違いがあるわけだから、実際に着た時の差というのはもっと大きい。

やはり現代的なコーディネートにおいては、USTに軍配が上がるだろう。

サイズ選びの注意点

革ジャン選びで最も重要なのは、「ジッパーが閉まるかどうか」だ。

試着段階でジッパーが閉まらない場合、そのサイズは絶対に合っていない。

「着ていれば伸びる」といった店員の言葉は信用すべきではない。

そもそも分厚い革で出来ているし、特に頑丈なウエスト周りは全くと言って良いほど伸びない。

一方で、オーバーサイズを選ぶ場合も注意が必要である。

613はステアハイドの厚みとエポレットの構造上、肩が落ちずに逆三角形のシルエットになってしまうからだ。

やはり最初はジャストサイズを選ぶべきだろう。

幸い、良心的なショップは通販でも「一回までのサイズ交換」に無償で対応している。

タグは切らずに、しばらく家の中で着てから判断したい。

値上げについて

Schottのライダースジャケットは、ほぼ毎年値上げしている。

今調べただけでも、

2020/07/01

2022/12/01

2023/04/01

に値上げを行っている。

無論、原材料費と人件費が高騰しているためだ。

更に来春2025/04/01に値上げすることもアナウンスされており、現在148,500円の613が176,000円になる。

流石に3万円もの値上げとなると、購入意思に影響するのではないだろうか。

かつてはSchottの613といえば10万円程度の印象だったが、もはや庶民の手を離れてしまった。

まとめ

モデルを要約すると、以下の通り。

  • 613→アームホールが太く、強い逆三角形のシルエット。
  • 613US→日本人向けにアームホールや肩幅をリサイズしたモデル。
  • 613UST→更に肩幅を詰め、袖丈と着丈を延長したモデル。

無論下に行くほど現代的なシルエットで、着やすい。

Schottの613は、ライダースジャケットの歴史を語る上で欠かせない存在だ。

しかし、そのサイズ選びには慎重さが求められる。

モデルごとのサイズ感を見極めて、自分に最適な一着を手に入れてほしい。

まあ最近はメルカリなどで高値で売れるから、通販や個人売買も大したリスクでは無いのかもしれない。

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