皆さんは、グレッチのラインナップを把握しているだろうか?
答えはノーだろう。何故ならグレッチのラインナップは、オーナー以外に易しくないからだ。
現状グレッチは、3つのブランドで展開している。グレード順に、Gretsch、Gretsch Electromatic、Gretsch Streamlinerという具合だ。
今回はレギュラーのGretschの話。
Gretschは2016年から、Vintage Select EditionとPlayers Editionという2つのラインに分かれていた。前者は名前の通り、伝統重視のプロダクトだ。多くの機種にラッカー塗装を採用し、ヴィンテージ仕様を踏襲していた。
後者は、現代のプレイヤーにも弾きやすいように配慮したモデルだ。ボディは比較的薄く小さく、扱いやすいポリウレタン塗装。ロックペグやロックピンといった現代的なパーツを装備した、より実戦的なモデルであった。
そして今回、いつの間にかPlayers Editionのラインナップが整理されていた。

現存しているのは、わずか二機種。これを見ると、Players Editionは事実上終了したと考えてよいだろう。
代わりに、NashvilleとTennesseanという、かつてのPlayers Editionを思わせる仕様の2機種が登場した。

つまりヴィンテージ仕様とモダン仕様をシリーズで分けるのではなく、個別のモデルで表現するように変更したと考えられる。
正直私はこれで良かったと思う。同じ機種でいくつもバリエーションがあっても仕方がないし、これまではラインナップ過多の感があった。何よりも分かりにくいだろう。
それは良いとして、そんな重要な事が一切アナウンスされていないことが問題だ。
グレッチにはよくあることだが、とにかく宣伝が足りないのだ。
テネシーローズがテネシアンになったときでさえ、全くアナウンスは無く、ステルス仕様変更に止まった。何故そんな大事なことをこっそり済ませてしまうのだろう?
私は、グレッチは最高のブランドだと考えている。
歴史もあって、実力もある。その優雅な佇まいは、他と一線を画す。
しかし、それを一切宣伝しないというのはどういう了見だ?
個人的には、代理店が神田商会からフェンダーミュージックに切り替わってから顕在化した気がしている。
ご存じの通り、フェンダーの業績はたいへん好調である。
しかしグレッチに対する冷遇と広報の足りなさは、消費者をナメているとしか思えない。
良いものを作るだけでなく、「それをどうやって届けるか」ということが重要だ。
私は、グレッチもフェンダーも大好きだ。
しかし広報の不親切さとアフターフォローの悪さは、いずれ楽器製造そのものの首を絞める気がしてならない。
コメント