Gretsch 6119 Tennesseanの仕様変更まとめ

グレッチのギター全般、仕様変更が多いという宿命を抱えております。

「PX6119 Tennessean(テネシアン)」も例に違わず、生産中止になるその時まで仕様変更を繰り返していました。

当初は上位機種「6120」の廉価版として生まれましたが、次第にシミュレイテッド・Fホールやハイロートロン(HiLo’Tron)の搭載など、独自の魅力を持つようになりましたね。

ジョージ・ハリスンの愛用で一躍有名となり、日本では浅井健一や故・チバユウスケといったロックアイコンたちに愛されてきたという背景があります。

今回はこのテネシアンにフォーカスし、その細かな仕様変更を年代別に追いたいと思います。

※免責事項

私の手元には1962年式のTennesseanがあるのみで、情報は必ずしも正確でない可能性があります!

また過渡期がありますので、年代と仕様は必ずしも一致しません!

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目次

テネシアンのアイデンティティとは?

まずは基本情報のおさらい。

名前の由来

チェット・アトキンスの同名のアルバムから。グレッチのエレキギターの多くがチェットのシグネイチャーモデルです。

型番「PX6119」

カタログや広告においては「PX6119」として紹介されていました。現行ではG6119になりましたね。

廉価版という立ち位置

上位機種である6120の廉価版に位置しています。型番からもその関係性を連想しやすくなっていますね。金メッキでなくクロームメッキ、省略された背面のバインディングなど、渋い輝きを放っています。

サウンド傾向

シングルコイルであるハイロートロンが生み出すタイトなローエンドと、グレッチらしいトゥワンギー・トーンが魅力。

シミュレイテッド・Fホール

ハウリング対策のためFホールがプリントになっており、ボディが密閉されていることが最大の特徴です。Fホールを完全に無くすという判断も出来たはずですが、わざわざお絵描きにしてしまう所が最高にクール。

年代別・詳細仕様変遷

1958年〜:初期モデル(ディープボディ期)

三栄ムック グレッチ・ヴィンテージ・ギターガイド 31ページより

登場当初は6120の廉価版としての側面が強く、現在のイメージとは異なる大柄な箱物でした。

ボディは2.75インチ厚のフルホロウで、6120と同等のサイズ。

カラーリングは6120寄りで赤みが強く、リアにフィルタートロンを1基だけ搭載したシンプルなスタイルです。

この段階ではFホールが実際に開口されており、一般的なホロウボディと同じ構造でした。

ピックガードは基本的に黒ですが、シルバーのものも確認されています。時期によりグレッチロゴのみ、チェットのシグネイチャー入り、TENESSEANロゴ入りなど様々です。

ナットは0フレットなしのブラスナットが使われています。

ビグスビーはグレッチのロゴあり/なしが混在していますが、おそらく最初期がロゴなし。

1959年後期から1960年にかけてはマイナーチェンジが行われ、ボーンナットと0フレットの組み合わせが採用されました。これは大半の機種で同じ構成です。

この型は最初の数年に生産されたのみで、中古市場では全くと言って良いほど見かけませんが、現代でもたまにリイシューされます。

1961年~:シンラインボディ&2ピックアップ化

ここで現在私たちが知る「テネシアン」の原型が完成します。

前期からの最大の変化は、ボディの薄型化・ダミーホール化・ピックアップ構成の刷新です。ボディ厚は2.75インチから2.25インチへ削られ、いわゆる「シンライン」ボディに生まれ変わりました。

ピックアップはハイロートロン2基が搭載されるようになり、テネシアンのアイデンティティはここで確立されます。

Fホールはハウリング対策としてダミー(シミュレイテッド・Fホール)化され、ほとんど密閉されています。

初期のダミーホールは大振りなデザインで、重厚な印象を受けます。

フィニッシュはダークチェリーへと変更され、より落ち着いた雰囲気になりました。

ピックガードはシルバーにグレッチのロゴのみが入るシンプルなデザインに落ち着きます。

現代へと繋がるテネシアンはここから始まりますが、生産終了まで仕様変更を繰り返すこととなります。

1962年~スペックの確立

こちらが私の所持するデルです。かっこいいでしょう?

実機計測によるとボディ厚は2インチ(≒5cm)で、更に薄くなっていることが分かります。Fホールが縁のないシャープなデザインになっていますので、全体的にスリムな印象を受けます。

ピックガードはシルバー地にグレッチロゴ、チェットのシグネイチャー、TENNESSEANの機種名と、全てが記載されるようになりました。

コントロールにはスタンバイスイッチが追加。

ヘッドストックは突板が黒く、ロゴが低い位置に配置されるのが特徴です。ペグはウェーバリー製の丸ボタンが使われています。

これ以降は微差であり、テネシアンの基本仕様がだいぶ固まったと言える時期です。

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1963年〜:白い縁取りの追加

浅井健一の使用により、特に人気の高いモデル。ヘッドにネームプレートが無い最後のモデルでもあります。

前年からの最も分かりやすい変更は、シミュレイテッドFホールに白い縁取りが加わったことです。これにより遠目には開口されたFホールのように見え、テネシアンの外観がぐっと華やかになりました。

このデザインは現代の復刻版にも受け継がれており、事実上のスタンダードとなっています。

途中からペグがウェーバリーの丸ボタンから、ヴァンジェント製のトライアングル・ボタンに変更されます。

ネームプレートなし+ダミーホールに縁ありの構成ならこの年代です。

引き続き、ヘッドストックのロゴ位置はかなり低め。

1965年〜:ネームプレートの登場

大きく変わったのはヘッドストックで、金属製のネームプレートが付くようになりました。私はこのプレートが結構好きなんですが、あまり人気はないようです。

ペグは引き続き、ヴァンジェント製のトライアングル・ボタンが標準。

チバユウスケ氏(The Birthday / TMGE)の自己申告によると、彼が購入したのは1967年製だそうです。一番人気ではない年代ゆえに「ちょっと安かった」とのこと。

1968年〜:ボールドウィン買収後の初期

1967年7月31日、グレッチはボールドウィン社に買収されました。徐々にその影響がみられますが、テネシアンの原型は維持しています。

仕様とは言えないかもしれませんが、ヘッドのネームプレートの下に「ホースシュー(蹄鉄)」インレイが隠されています。

6120と生産ラインが共通だった可能性が示唆されます。これがテネシアンのアイデンティティが崩れる予兆なのかもしれませんね。

ペグボタンはカットオフされた楕円形状で、カヴァード・ギア化。

ノブはアルミノブに変更されています。このノブ、精悍な顔つきでかなり好きです。

1972年~:混乱と低迷、モデル名を「7655」へ

私の調べた限りでは、モデル名と形状に大幅な変更があったのは1972年以降です。

ボールドウィン体制が本格化してから、完全におかしくなります。まず型番が7655に変更。

先頭の数字「7」は1970年代を意識した改番で、ボールドウィン体制下の新世代モデルであることを示すものです。他のモデルにおいても同様に7000番台への一斉改番が行われていますね。

しかしその変更はどこまで行っても的外れでした。

再び開口されたFホール、ピックガードの形状を変更してボディトップに直付け、妙に赤いボディ、野暮ったいヘッドストック、金属製のエスカッション、ボディ裏に移動したトラスロッドカバーなど・・・。一目見て分かる「ダメだこりゃ」状態で、明らかにデザインが混乱しています。程なくして倒産したのも納得です。

1979年にチェットはグレッチに見切りをつけ、ギブソンへと鞍替えしています。ギブソンからも「Tennessean」モデルがリリースされ、以降グレッチではこの名称を使えなくなります。

三栄ムック グレッチ・ヴィンテージ・ギターガイド 33ページより

日本製として復活

1980年代にグレッチの生産は一度停止しますが、1989年に日本の寺田楽器によって復活を遂げます。

1989年〜(pre-Fender時代)

型番は7655から6119に戻り、まさしく原点回帰です。しかしチェット・アトキンスとの契約の関係で名前が「Tennessee Rose」に変更されました。

1962年スペックをベースにしつつ、Fホールは開口されていたり、フィルタートロンを搭載したものもあったり、バリエーションは様々です。

グローバーやゴトーといった近代的なパーツが奢られており、信頼性は高いです。

しかし元の型枠を紛失・焼失している都合上、ショルダー部やカッタウェイの形状はボールドウィン期のシルエットが色濃く残っています。

この時期にしかみられないローラーサドルが搭載されていることも特徴ですね。

残念ながら、あまり出来はよろしくないです。

それ故に中古価格は落ち着いていますので、こだわらないのであれば狙い目。

2003年〜(Fender以降)

Fender傘下に入り、この頃からヴィンテージからの採寸をやり直して原点回帰が進みました。品質が飛躍的に向上し、ヴィンテージのデザインが忠実に再現されるようになります。

型番の先頭にGが付くようになったので、判別は容易です。

個人的にはこのG付きシリアルを強くおすすめ致します。

2016年~Vintage Select Editionの登場

この頃からヴィンテージ・スペックを追求したラインナップが追加されます。ラッカー塗装を採用したものも多く、経年変化でクラックが発生するなどします。

細かいことを言えば完全再現には至っていないのですが、非常に満足度の高いシリーズになっております。

予算が許すのであれば最もおすすめです。

2024年~「Tennessean」の名称が正式に復活

2024年10月、グレッチは「Tennessean」の名称を正式に復活させました。様々な方面と交渉があったのでしょう、素晴らしい快挙です。

しかしグレッチはこれをステルス仕様変更に留めて、宣伝するような事はしませんでした。

何故!?

我々グレッチユーザーにとっては大変重要な問題ですから、そこは大々的に宣伝して欲しかった!

まとめ

というわけでテネシアン一つとっても、これだけの仕様変更があったわけです。

正直これらの情報も正確ではないでしょうし、網羅しているとも言えません。

皆さま、何かご存じでしたら情報提供のほどよろしくお願いいたします。

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出典

本記事で使用している画像は、Wikimedia Commonsにて公開されているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づき、出典を明記して引用しています。

  • 1964年製 6119 (Full Body): “Gretsch 6119 Tennessean Chet Atkins 1964” by Mitochondrion / CC BY-SA 3.0
  • 1966年製 6119 (Front View): “Gretsch 6119-Tennessean-1966” by Matanao / CC BY-SA 3.0
  • 1966年製 6119 (Body Close-up): “Gretsch 6119 Tennessean 1966 002” by Matanao / CC BY-SA 3.0
  • 1966年製 6119 (Back View): “Gretsch-Tennessean-1966-back” by Matanao / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Headstock): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) headstock” by Clusternote / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Headstock Rear): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) headstock rear” by Clusternote / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Body): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) body” by Clusternote / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Body Details): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) body details” by Clusternote / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Pickguard): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) pickguard” by Clusternote / CC BY-SA 3.0
  • c.1972年製 7655 (Bigsby/Bridge): “Gretsch Tennessean Chet Atkins c.1972 (SN 121013) bigsby” by Clusternote / CC BY-SA 3.0

全画像の出典元カテゴリ:Category:Gretsch Chet Atkins Tennessean 6119 – Wikimedia Commons

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