※ジャンプルーキー公開分のネタバレを含みます。
この漫画、一目見て「いいな」と思った。絵がシンプルで、バンドや音楽そのものを過度に美化せず、淡々と進むエッセイ調。やや毒のある、さくらももこのような画風と物語。私はこの手の漫画が大好きなのである。
そしてしばらく更新が止まっていたが、なんと作画担当が付いてジャンプ+に昇格した。原作が好きだったという人も居るかもしれないが、見事な栄転だ。
「あるある」のライン
今となってはバンド漫画もそれなりに存在するが、軽音部における平凡な出来事を淡々と描いている点に関しては唯一無二であり、称賛に値する。
軽音部だからといって上手いとは限らないし、必ずしもライブで大盛り上がり!ということもなく、完全なる内輪ノリであるというケースは珍しくない。だが、それが結構楽しかったりする。
そう、軽音部というのはちょっと痛い側面もあるのだ。
軽音部の痛さやサムさをもストレートに描き、ある意味では地味な物語がジャンプ+で連載されているというのは凄いことだと思う。
否応なしに組まされるバンド
あるある!!!!
部の方針とかパートの都合とかで、理想的なメンバーで組めない事の方が多いのである。そうなるとメンバーの争奪戦、あるいは押し付け合いが発生する。技術やビジュアルでカースト上位の者同士はさっさと集まり、そうでない者はあぶれがちだ。そうなると大変に惨めだから、部内で立場を作るにはとにかく練習するしかない。またバンドにおいて、ギター及びボーカルは全く需要が無い。志望者が多すぎるからだ。
だから間に合せの人選で集まったラチッタデッラはかなりリアルだし、「バンド名決めが盛り上がりのピーク」というのはよくある光景である。
試奏でおしゃかしゃま弾く奴は大抵カス
個人の感想です。
部内での恋愛事情について
この面倒臭さ、リアルである。
若い男女が同じ空間で過ごすと、必然的に色恋沙汰に発展する。高校生の部活自体がそんなもんだろうが、軽音部の場合は別格に面倒だ。バンド内での恋愛は、即解散に繋がるからだ。痴情のもつれから居た堪れなくなってメンバーが一人脱退するとそれだけで総倒れ、バンドとして成立しなくなってしまう。
実体験として、サークル内での恋愛はマジで止めて欲しかった。それに振り回されるこちらの身にもなってくれ。その点、同性で集まるとヒジョーに楽である。
狂人、りんちゃん
りんちゃんはどういうわけか、はとっちを気に入っている。
今のところはとっちは、歌もギターもうまくはない。しかし誰も居ない教室で歌いだしたり、武者修行的に弾き語りを始めたりするスピリットがある。
そんなはとっちの「ロックンロールの才能」を見抜いており、心酔しているのだ。
りんちゃんは策士であり、ヨンスの恋愛感情を巧みに利用し、操った。ドラマーのかっきーも体よく追い出した。こうして邪魔な男の排除に成功し、新バンド結成の下地を作ったのである。新たなるメンバー加入の種も既に蒔かれていた。上手いこと暗躍し、欲しい人材だけを引き抜いたのだ。その手段も見事で、嘘をついたり他人を貶めたわけではない。単に事実を述べることによって糸を引いたのだ。あくまで人としての義理を欠いていないあたり、非常に巧妙な立ち回りである。
この女、マジで有能だ。
しかし単に有能なベースでは面白くないから、はとっちを神として崇めるあたり、少々頭が狂っているのはキャラ付けとして見事である。
今後も目が離せない、「ふつうの軽音部」。
ふつうの軽音部は、毎週日曜更新。原作はストックがあるから、しばらくは安定したペースで掲載してくれるであろう。クワハリ/出内テツオ両先生から、今後も目が離せない。
個人的には、ヨンスのキモさはリアリティがあってツボだったのだが、キックされてしまったのが残念でならない。
ところで、はとっちのテレキャスターって赤だったの?
気になったので、仕様を調べてみた。ジャンプルーキー掲載時は水色、ジャンプ+では赤色だ。日本製、メイプル指板、3連サドル、8点留めピックガード、売価は10万円以下ということが分かる。
これと全く同じ仕様は、現行品には存在しない。
テレキャスというのは仕様が多岐に渡るから、その時々で全く同じものというのは意外と見つからなかったりする。
私はカスみたいな機材オタクなので、とにかくギターのことが気になって仕方がないのである。
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