前回修理した、ピグノーズ。音の出ない原因は電池の接触不良でした。それだけではまだ弾きづらいので、紹介がてら調整をしていきます。
まずはヘッドから。PGG-200は細かくマイナーチェンジしており、これは比較的前期のモデルです。前期モデルは段付きのストレート・ヘッドで、テンション不足を補うためにテンションバーが付いていますが、弦とネジが干渉してしまっています。近年のモデルではアングルド・ヘッドになっており、当然ながらテンションバーはありません。
ナットの加工精度は低く、指板との隙間が大きいです。ペグボタンは割れてますね。定価3万円のギターのケチをつけても仕方がないのですが、これは酷い。
燦燦と輝くのは、「MADE IN KOREA」の文字。
やや順反りしていたのでロッドを締めます。テンションバーは邪魔なので外しました。元に戻すときは、ヘッドを貫通しないよう注意してください。
それでもまだ弦高が下がらなかったので、ネックを外して仕込み角度を調整します。下二つのネジ穴がだいぶズレてますね。なんだかなあ。
シムは元々入っていましたが、ESP製の0.5mmシムを追加して更に寝かせます。見ての通り、ネックポケットの加工は最低レベルです。
ネックが寝て弦高が下がりましたので、今度はサドル側を上げます。ミリ規格ですので、1.5mmの六角レンチを使用。
ピックアップはシングルサイズのハムを一基搭載。これはノイズ対策でしょうね。試しに少し高くしてみたんですけど、スピーカーと近いのですぐにハウリングが起きました。
これは電池ボックスのキャビティですが、ピックガードのネジが貫通してます。配線が通っているのに、これは酷い。
裏蓋を開けるとアンプとスピーカーにアクセスできます。アンプ基板上にはトリマーポットがあってボリュームを調整できます。あえて下げることで低音量でも歪ませることができますが、あまり触る必要はないかと。上げすぎるとハウリングします。
ピグノーズのアイコンは、豚鼻のスイッチ。プッシュプルポットになっていて、引き上げるとアンプ・スピーカーがONになります。ここが故障している個体が多いので、中古購入時は注意してください。ボリュームを上げていくとそこそこ歪みます。
こう見えてピグノーズはムスタングとほぼ同じショートスケールですから、このサイズにしてレギュラーチューニングに対応しています。ブリッジをボディ終端に配置し、前長を極限まで抑えつつスケール長を確保した設計は優秀です。
単体で見ても、やはり全長の短さが際立っていますね。
さてこのピグノーズ、トラベルギターというコンセプトは良く、弾いていて楽しいギターではあります。
しかしこれは持ち運びに特化したトラベルギターであって、初心者が最初の一本に選ぶようなものではありません。あくまでもサブとして気軽に持ち運ぶのが正しく、品質やサイズの観点から、これを常用するのは無理があります。普段使いするギターとは明確に区別すべきです。素地が悪いため、改造ベースにもならないでしょう。愛好家は居るとは思いますけどね。
クソな木工、クソなパーツ、クソな組み込み。奏でる音は、カコフォニー。
それが結構楽しいのです。
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