中古の楽器を購入するにあたって、臭いというのは見落とされがちな観点だ。特にエレキギターにおいては、タバコや汗の臭いが充満した劣悪な環境に放置されがちである。
特に箱物とかハードケースの内張りは、この臭いを吸着しやすい。
結論から言おう、臭いの完全除去は困難だ。
臭いの正体というのは原因物質が放った分子だから、原因物質の除去が最も効果的だ。つまり洗うのが一番だが、それが出来ない場合のほうが多いだろう。
そういった場合は、天日干しとかファブリーズといった消臭剤に頼ることになる。
しかしそれは、一時的に臭いが消えたような気がするが、しばらくするとまた臭いが復活してくるのである。
消臭という観点から、もっとも強力なのはオゾン発生器だ。
オゾンは強烈な酸化力を持っており、原因物質の分子構造を破壊し、より小さく安定した無害で無臭な物質へと分解する。
そういうわけで直接的な洗浄か、オゾン発生器の使用くらいしか効果的な方法が無いのである。だからこれ以外の方法は、基本的には気休めであると考えるべきである。
こうした前提を踏まえ、手元にあるハードケースの消臭実験を行った。これがまあまあ臭く、靴箱のような臭いを漂わせている。
そこまでの刺激臭ではないが不潔な臭いであるため、何とかしてみよう。
使用したのは、たまたま自宅に余っていた重曹とお茶パックである。
重曹は多孔質の物質で臭い分子を吸着する性質があり、消臭剤としてよく用いられる。
これを直接ふりかけてしまうと片付けが大変なので、お茶パックに詰めてから使用する。
が、お茶パックの隙間から漏れ出してくるので、多少散らかるのは覚悟したい。

この状態でケースを閉めて、数日間放置した。重曹の能力にも限界があるので、この容積なら一週間ほど経過すれば効果は頭打ちだろう。
結果として臭いは微減したが、やはり完全に消えることはなかった。想定内の結果である。
というわけで、購入前にはハードケースのタバコ臭やカビ臭に注意して欲しい。
当サイトとしては、消臭効果の高いオゾン発生器の使用を推奨し、それ以外の方法は大半が徒労に終わると考える。
コメント
いつも楽しく拝見しております。
わたしも以前ケースとギターの匂いに悩まされて色々試したのですが、一番効果があったのは炭関連のクッズでした。
百均で売っている備長炭シートにギターを包んで、ケースに入れたまま放置したところ2週間ほどでペット臭が完全にケースとギターから消えました。
タバコ臭に関しては匂いがキツすぎると完全に落とすのは無理ですが、効果はありました。
もし機会があれば試してみていただきたいです。
炭、良さそうですね。重曹と共通するのは多孔質という部分ですね。キムコとか脱臭炭とか、色々試してみる価値がありそうです。
有益な情報感謝致します。