- 自然と人工は、好みが分かれやすい。
- アマチュア利用においてヴィンテージの風合いを得るのは困難。
- 我々は自然と、加工済みのデニムを手に取っている。


薄いラッカーと細かいウェザーチェックは見惚れる程である。
結論:好きです。
が、嫌いな人の気持ちも分かります。
だってわざと傷を付けてヴィンテージっぽさを出すって、考え方によっては相当ダサいです。
しかし言わせて欲しい。
現代のギターをどれだけ弾いたところで、ヴィンテージの風合いは得られない!
我々アマチュアの家弾き程度では、とてもじゃないですが激しいクラックや剥がれは発生しません。
ですからヴィンテージの履歴を人工的に再現しようというのは、塗装表現の一つとして受け入れたいところです。
とはいえ「わざと傷つけるのはダサい」という違和感も理解します。
特に歴史も無いのに、古さを演出した感じが苦手だという人は多いでしょう。
スケートボードを自らの手でボロボロにし、達人のフリをするかの如く・・・。
しかしレリックというのは美観の他にも大きなメリットがあるのですよ。
それはぶつけても気にならないということ。
机にゴンとぶつけたところで、どこに傷がついたかなんて分かりません。ものの数分で忘却の彼方です。
音に関してはどうでしょう。
直接的な因果は薄いかもしれませんが、塗膜の薄い個体は生鳴りの反応が変わることはあります。
「塗装は薄い方が良い」という支持は根強いですから、それを好む人が多いというのもまた事実でしょう。
こうしたレリックを自力で行う人も居ます。
石や工具をぶつけたり、ヤスリで塗装を剥がしたり。
そういう一生懸命さも、もしかしたら「ダサい」と感じる所以かもしれません。
しかし自分好みにレリックされたボディというのは、本当に良いものですよ。
仮にこのまま弾き込んだらどうなるのか、想像しながら作業をすると愛着も湧きます。
自分でやる場合に注意したいのは、「やりすぎない事」です。
昔友人がギブソンのレスポールをヤスっていたんですけど、まあまあ「やり過ぎ」でした。
特にテールピース付近は木の地肌が露出して、「3万回くらい弦替えたらこうなるかもね」というのは筆者の談。
まあどこまで行っても好みですし、それを好む人、嫌う人は居て当然です。
私たちが普段手に取るジーンズの多くは加工済みであって、最初から雰囲気を買っている状態です。
ギターのレリックを嫌う人でも、洋服では当たり前に受け入れている。
ここに「衣類はOK、楽器はNG」という境界の揺らぎがあるんですね。
ギターも装いの一部として見るのであれば、レリックはファッションと同じくスタイリングの選択と言えるでしょう。
これが時に大きな論争を呼ぶことも、ポジティブに受け入れたいと思います。
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