一口に安ギターと言っても数多くのメーカーが存在し、多くの場合どこかのメーカーの下位ブランドであるかショップオリジナルのブランドですね。以下に代表的なメーカーを紹介したいと思います。
先に断っておきますが、安ギターのブランドはハッキリ言って大差ありません。見た目が気に入ったものを買いましょう。
しかし個人的には「初心者セット」みたいなものはおすすめしません。安物の抱合せにまともに使えるものは入っておらず、特にアンプは使い物になりません。安ギターを買うにしても、ギター単体で買ってアンプやシールドは後から揃えるようにしましょう。
安ギターブランド
Mavis(メイビス)
リサイクルショップでやけにたくさん見かけます。ヘッド裏にはイシバシ楽器の製品であると明記されていますが、めちゃくちゃ評判悪いです。とあるレビューサイトにて木工から組み付けから配線に至るまで全てがガタガタである様子が報告されています。
インドネシア製だそうで、インドネシアってエレキギターの生産数多いハズなんですけどね。まともな品質管理ができないのであれば、安易に自社ブランドなど立ち上げないほうが良いと思うのですが。自社ブランドは割の良い商売ですから多くの楽器店が手掛けているのは分かります。
その結果質の低い製品を売って、会社自体の評判を貶めてしまうのであれば元も子もないと思うのですが。まあ私が手にとって見た製品は見かけ上は問題無さそうでしたけども・・・購入時は要注意。
PLAYTECH(プレイテック)
ある意味真打ちのプレイテック。音楽をやっている人なら誰でも知っている通販サイト「サウンドハウス」のオリジナルブランドです。ギターだけでなくアンプやエフェクター、ケース等のアクセサリーに至るまで幅広く手がけています。
他の安ギターに比べ群を抜いて安いことが特徴。多少品質は劣るようですが、 ¥6,980~と異様な安さです。とにかく安いものが欲しい!という人はこれ一択。改造の練習や実験台としても大人気です。飽きても壊してもこのぐらいの値段であれば後悔が少なく済むでしょう。
LEGEND・BRITZ(レジェンド・ブリッツ)
この2つはアリアプロの展開する廉価ブランドで、低価格ながらべっ甲ピックガード搭載モデルも取り扱っておりヘッド形状に差別化が見られます。
ボディシェイプでブランドを分けており、フェンダーのコピーモデルをLEGEND、ギブソンのコピーモデルをBRITZとしています。
安ギターメーカーとしてはそこそこ有名で、他のメーカーより多少木材の質が良いそう。特にギブソン系のBRITZには定評あり。同価格帯ならばウチが最強との自負があるようです。
私は昔アリアのアコギを持っていましたけど、確かに値段以上の品質でした。そこそこ無難な選択肢だと思います。
BUSKER’S(バスカーズ)
バスカーズは島村楽器のオリジナルブランド。この価格帯全般に言えることですが特徴がないことが特徴です。私が初めて買ってもらったのはバスカーズのストラトモデルでした。弾きやすく、フレットの仕上げが悪いということも無かったです。
音もいたって普通、ややチープな音ですがノイズが少なくスッキリとした音でした。ただ木材と塗装の仕上げは悪く、表面はデコボコです。たった今公式サイトを見てみましたが、13,500円から展開しているようです。
SSHのストラトもあり他社との若干の差別化にはなっていますね。スペックを見てみると低価格帯ながら牛骨ナットです。 初心者向けらしくアンプやシールドのセットを推していますが避けましょう。後から別々に買い足していくべきです。
SELDER・MAISON(セルダー・メイソン)
SELDERとMAISONはサクラ楽器店が取り扱うブランドで、運営しているのはキョーリツコーポレーションという商社です。
SELDERはフェンダー系、MAISONはギブソン系のシェイプという棲み分けになっています。そこでブランドを分けてしまうのは謎です。
試しにジャンクのmaisonを買ってレビューしてみました。
Photogenic(フォトジェニック)
Photogenicもキョーリツコーポレーションの保持するブランド。何故サクラ楽器店のモデルとブランド名が違うのか、謎が多いです。
安ギターながらアルダー材を使用している機種がありますので、買うときは注意してみるのが良いかと思います。
前述のSelderとはヘッド形状など意外と相違点が多いようです。通販サイトで手に入れやすいためか、中古屋で非常によく見かけます。
それにしても、安ギターにPhotogenic(写真映えする)なんて名前をつけてしまうのは皮肉が効いているというか、可哀想というか。
Grass Roots(グラスルーツ)
こちらはESP傘下、メタルやヴィジュアル系寄りのラインナップ。他にない変形シェイプは魅力ですが、そこにコストが掛かっている分割高です。価格は大体5万円前後、コスパはかなり悪いです。全くオススメできません。
見た目が気に入ったのであれば買いですが、ESP配下のEDWARDSの更に配下なので特別品質が良いということもありません。見た目に飽きやすいためか、飽きっぽい人が買っていくのか、ハードオフの常連です。
これを買うんだったらESPの中古でも買ったほうが満足できるかと思います。
Ibanez Gio(アイバニーズ・ジオ)
アイバニーズのエントリーモデル「Gio」シリーズ。メタル寄りの派手な見た目です。廉価ながらメイプルトップにラミネートされていたり、悪くありません、
ジャンクを買ったことがあるんですけどめちゃくちゃ良かったです。ネックは薄くて弾きやすく、ハムバッカーはノイズが少なく良い音でした。価格が2万円程度と他の安ギターより高いんですけど、この出来なら納得。見た目が好きならば間違いなくおすすめ。
FERNANDES,BURNY(フェルナンデス、バーニー)
こちらも中古屋さんではよく見かけますね。フェンダー系はフェルナンデス、ギブソン系はバーニーという棲み分けです。フェルナンデスはZO-3が有名ですね。
古いものにはジャパンビンテージとしてプレミアが付いていることもあります。布袋の白黒とかhideのイエローハートなどのアーティストモデルもリリースしており侮れない企画力です。
野性爆弾のくっきーが高校生の頃初めて買ったギターはフェルナンデスだそうな。
Tony Smith(トニースミス)
通称トニスミ。こちらも調べてみるとキョーリツコーポレーションの取り扱いです。ギターのほか初心者用ドラムセット作っています。セミアコが多いようですね。他にPRSのコピーモデルもリリースしております。
PRSのコピーは案外少ないので、トニスミを買うんならPRSモデルが良いんじゃないでしょうか。セミアコは3万円程度で激安というほどではないです。
PRSモデルのKPR-32は見た目はカッコイイですね。しかも安ギターながらセットネック、バインディング有りと意外に贅沢な仕様です。遠目に見たら安ギターとは気づかないんじゃないでしょうか。ハードオフで見かけたら手にとって見るといいかも。
おそらくですけど、トニースミスのギターは取り扱いが終了したんじゃないでしょうか?全く情報が見当たりません。
大手直系のブランド
Squier(スクワイヤー、スクワイア)
ご存知スクワイヤー。Fender傘下の廉価ブランドで、Fender Japanよりもずっと安いです。
廉価とはいえFender直系というブランド力があり、Squireからシグネチャーモデルも出ているほど。使っているプロもそれなりに居ます。近年ではSCANDALのシグネチャーモデルが発売され、あっという間に完売しました。中古で見かけたら買いですね。
本家Fenderと比べると品質は大きく劣りますが、コストパフォーマンスは高いです。小さくフェンダーロゴが入っているのも嬉しい。
Epiphone(エピフォン)
こちらはギブソン傘下のブランド。昔はOrvilleがありましたが、今はギブソン傘下はこれだけです。昔は日本製でしたが今は韓国製。
日本製の見分け方は簡単で、ヘッド形状がギブソンと全く同じであれば日本製です。今のEpiphoneは敢えてギブソンとは全く異なるヘッド形状をしています。
最近はボルトオンネックのものも多くラインナップしており、コストダウンの努力が垣間見えます。
Bacchus UNIVERSE (バッカスユニバース)
国内メーカーの雄であるバッカスの廉価版、通称バカユニ。使用しているパーツや仕上げは他の激安メーカーよりもワンランク上に感じました。
フェンダーやギブソンといったブランド価値に拘らないのであれば無難な選択肢です。2万以下で悩んでいる人にはこちらをおすすめしたいです。
ヤマハ PACIFICA(パシフィカ)
こちらはヤマハのパシフィカというシリーズ。パシフィカには上位機種と同等の技術が投入されており、かなり近代的な設計になっています。
シェイプはストラトを発展させたこだわりのディンキーシェイプで個性的。他の初心者向けギターとは一線を博すクオリティです。
これまでに挙げた中で、最もコストパフォーマンスに優れるのはパシフィカでしょうね。なんせこの価格帯でアルダーボディのナチュラルカラーが存在し、コイルタップ機能まで搭載していますから。ハードオフで見かけたら狙い目です。
他のギターの陰に隠れていまいちマイナーな存在でしたが、この度なんとぼっちざろっくにて脚光を浴びました。ぼっちちゃんが使っているのはPAC600seriesで価格は6万円台と、安ギターとまでは言えないのですがご参考までに。個人的にヤマハのギターはもっと評価されるべきであると考えていましたので嬉しい限りです。
Gretsch Streamliner
これを安ギターに含めるかどうかは悩みましたが、グレッチのセミアコが6万円程度で手に入るのでしたら十分安いでしょう。生産国はインドネシアでコストを下げています。
ストリームライナーシリーズは昔あった機種名からとったシリーズ。グレッチのビンテージ機種を再現した見た目です。
安いですが一応本物のグレッチ、ビンテージルックなので満足度は高いでしょう。
避けるべきは初心者セット
避けるべき一例はこういったいわゆる「初心者セット」。記事の構成上アフィリエイトリンクを貼っておりますがおすすめしません。
確かにめちゃくちゃ安いんですけど、無名メーカーのアンプとかって使い物にならないんですよね。安物の抱き合せ販売でなんとか付加価値を持たせようとしているだけで、アンプやシールドは実用できるレベルではありません。
例えば「最初に買った初心者向けギターを未だに使っている」というケースは珍しくないですが、「初心者セットに付いてきたアンプを未だに使っている」というケースは稀です。というかほぼ、有り得ないでしょう。アンプの大きさ、音、値段はイコールだからです。
抱き合わせのアンプよりはアンプメーカーの出しているマイクロアンプの方が遥かに良いのでそちらをおすすめします。あるいはヘッドフォンアンプとか。
安物で済ませるのはギターに留めておいて、音を出力するアンプやその経路であるシールドは個別で気に入ったものを選んだほうが良いというのが私の考えです。
まとめ
初心者向けギター、いわゆる安ギターの代表的なメーカーを紹介しました。特徴があるのは異様に安いPLAYTECH、安ギターとしては木材の良いBRITZ、PRSのコピーモデルをラインナップするTony Smithでしょうか。
1万円台で出来が良いと感じたのはIbanez Gioですね。金属パーツが変に安っぽくなく、ちゃんとしたものを使っている印象でした。
いずれにせよ、予算が許すのであれば後半に挙げた大手直系のブランドから選ぶべきだと思います。使ってるパーツの質が異なりますから。
ただこればっかりは手にとってみないと分かりませんので、とりあえず買ってみても良いかと思います。安ギターから入って高級ギターとの違いを知るという経験は貴重です。
敢えてオススメするなら?
ここに挙げた中でなら、Pacifica112VMX YNSが断然おすすめです。だってアルダーボディにナチュラルカラーのサテンフィニッシュですよ?同価格帯にここまでボディが美しいものはありません。しかもリアハムにコイルタップまで搭載、ここまでやって買わない理由が見当たりません。その分価格は3万円台ですが、これだけ豪華な仕様ですからコストパフォーマンスはとても良いです。パシフィカは本当に良いギターなので、ぜひお店で見てみる事をおすすめ致します。
コメント
セルダーはサクラ楽器が発注・販売しているブランド。
同じキョーリツでも、販売元が違う。
情報提供ありがとうございます。調べてみたのですが、サクラ楽器はキョーリツコーポーレションが運営しているようですね。