ギター使用アーティスト

不遇のギター、グレッチを使用するアーティストたち

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グレッチは1883年創業、フェンダーやギブソンよりも長い歴史を誇る老舗です。元々ドラムメーカーですが1939年にはピックアップ付きのギターをリリースしていましたから、エレキギターにおいても頭一つ抜けた存在です。

途中会社は1967年にボールドウィン社(アメリカのピアノメーカーですね)に売却されますが、流行の移り変わりに上手く乗ることができず、設備や金型は売却され、工場は二回の火災に見舞われる等散々な目に遭います。

1980年には製造中止にまで追い込まれました。その後1985年に会社はフレッド・グレッチ3世によって買い戻され、生産を日本に移すことで、何とか再建されたのでした。よく潰れなかったな。

そんな不遇すぎるグレッチですが、独特の音や豪勢で美しいルックスから、根強いファンが絶えません。今回はそんなグレッチを使用するアーティストを紹介します。

浅井健一/BLANKEY JET CITY

日本におけるグレッチの第一人者といったら彼でしょう。メインはテネシアンで、64年製か65年製とのこと。オールドのグレッチはシリアルでの判別が難しいようです。他にもホワイトファルコンやデュオジェット、クリッパーなど多数所有。

初めて買ったグレッチはアメリカから輸入したホワイトファルコンで、43万円もした割にボロボロですぐに手放してしまったそうな。

ちなみにメインのテネシアンは二度折れたことがあるそう。一回はスタッフに倒されて、一回は自分で引っ掛けて。それでもきちんと直って音には問題なかったそうですから、ギターが折れてもそこまで嘆くことではないかもしれませんね。プロでもギターを折ってしまった話はよく聞きますから。

Gretsch G6119T-65KA Kenichi Asai Signature Tennessee Rose with Bigsby Lacquer GRETSCH G6119T-65KA Kenichi Asai Signature Black Cat

ちなみにシグネチャーモデルであるG6119T-65KAとG6119T-65KA Black Catがリリースされました。ダークチェリーと黒(Black Cat)の二色展開で、ディティールが全く異なります。SEXY STONES RECORDSのロゴもあしらわれ超個性的な仕上がりです。

チバユウスケ/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT,ROSSO,THE BIRTHDAY)

彼のシグネチャーモデル、G6119T-62TB-YC Yusuke Chiba Tennessee Black が去年登場しました。他にオールドのテネシアンや現行品のテネシーローズも使用。シャロンのPV等ではホワイトファルコンを使用しているのも確認できます。

チバユウスケ(The Birthday)Signature Gretsch Tennessee Black|特集【デジマート・マガジン】
このたびグレッチからチバユウスケ(The Birthday)のシグネチャー・モデル、“Tennessee Black”が発表。完成にこぎつけるまで約3年を要したこのモデルは、チバが所有する複数のグレッチから最適なスペックとルックスを吟味したという。クールなマット・ブラックに身を包んだこの1本にかけるこだわりをチバ本人から聞くことができた。あまりお目にかかれな
GRETSCH G6119T-62TB-YC Yusuke Chiba Tennessee Black with Bigsby グレッチ

シグネチャーモデルのG6119T-62TB-YC テネシーブラックはマットブラックのボディにシルバーパーツが美しい。

後藤輝基/フットボールアワー

私的に欠かせないのがフットボールアワーの後藤さんです。私は彼がギタリストとしても好きなんですよね。

マジ歌で披露したジェットエクスタシーや、テレビのためにわざわざ特注したという超個性的箱型ギター「ボ・ディドリー」が大変印象的でした。

他にもフィルタートロンのブラックファルコン(本当はダイナソニックの方が好きだそう)、デュオジェット、ホワイトファルコン仕様のビリー・ボ ジュピター サンダーバード等多数所持。曲を聞けば分かるのですが間違いなくBLANKEY JET CITYのフォロワーでしょうね。

歌詞やリフや機材からその影響が伺えます。曲がダサいという印象だけが独り歩きしていますが、良い曲だと思いますよ。お笑い芸人という立場上ダサく面白く演出されているだけで、彼の思う「格好良さ」がしっかりと伝わってきます。ギターのテクもかなりのものなので、私は彼が大好きです。ジェッタシー。

菅波栄純/THE BACK HORN

ジェットファイヤーバードとデュオジェットを使用。ジェット系をメインに使う人は案外珍しいですね。バックホーンのサウンド特性に良く合っていると思います。一見ソリッドっぽい見た目ですが、中を大幅にくり抜いたセミホロウボディになっております。ソリッドギターへの参入を渋っていたグレッチらしい拘りです。

布袋寅泰

布袋といえばゾディアックの布袋モデルが有名ですが、グレッチの使用者でもあります。ホワイトファルコンの他に蒼いホットロッドも使用。グレッチというと大きなギターというイメージですが、彼が持つとちょうど良く見えますね。

INORAN/Luna Sea

https://www.gretschguitars.jp/blog/2022/4/inoran-special-interview/1167/

グレッチのインタビューにて、ホワイトファルコンとシルバージェットを持参。共に現行の日本製だそうです。

ヴィンテージのテネシアンも使用。色がオレンジっぽいのでナッシュビルにも見えますがテネシアンです。テネシアンの赤は褪色しやすく、ビンテージはオレンジとか茶色っぽくなっている個体が多いです。

他ヴィンテージのGブランドも所有しているとの事。Gロゴ入りの6120の事でしょうね。こちらは弾くのが難しくあまり使っていないそうな。

MAMI/SCANDAL

ハルカのPVより。2010年製1962年モデルのホワイトファルコンを使用しているのが確認できます。昔のブログで「人生で一番高いものを買った」と報告していますがその時の定価は485000円、当時の消費税込みで509250円。割引きがあったとしても40万円台でしょうね。流石最高級機種です。

神田商会のページがまだ残っていました。

ページが見つかりません | 株式会社 神田商会 | Kanda Shokai Corporation
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佐々木亮介/a flood of circle

https://rockinon.com/news/detail/108653

日本人として初めて、グレッチとエンドースメント契約を締結しました。ホワイトファルコンとブラックファルコンを使用。夏でも革ジャンを着用しているそうな。私も革ジャン好きなので見習いたいものです。

見た目で購入。2014年頃リリースされたギターで、センター・ブロックのセミ・アコースティック型のホワイト・ファルコンはまだ誰も使っていないだろうと手に入れた。ルースターズ大江慎也さん55歳を祝うライブにて、大江さんとナンバーガールのリズム隊=中尾憲太郎さんアヒトイナザワさんとの演奏で贅沢なデビュー。遊びに来ていた奈良美智さんにサインを描いてもらって以来、「消えたらまた描いてあげる」の言葉を信じて、ツアーでも録音でもハード・ユーズし続けている愛機。

このホワイトファルコンなんですが、センターブロック仕様だそうですね。ボディも薄そうなので、歪ませても扱いやすそうです。しかしメチャクチャいい音させてますね・・・。

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草野マサムネ/スピッツ

みなとのPVより

ホワイトファルコンやG6118 Anniversaryを使用。やっぱり格好いい人が持つとサマになりますね。ホワイトファルコンなんて流麗で美しい所が草野マサムネ氏のイメージにぴったりじゃないでしょうか。

Fukase/SEKAI NO OWARI

INORIのPVより。残念ながら既に手放しているようですが、ホワイトファルコンを使用しておりました。

横山健/Hi-STANDARD

グレッチから日本人初のシグネチャー、ケニーファルコンがリリースされました。残念ながら既にカタログ落ちしているようですが・・・。

ナッシュビルやシルバージェットやホワイトファルコンやカントリージェントルマンに至るまで、公式サイトで紹介されているだけでグレッチを9本も所有しております。公式サイトは情報量がかなり多いので必見です。

Guitars « Ken Yokoyama(Band) OFFICIAL SITE
横山健 (Gt&Vo)、南英紀 (Gt)、Jun Gray (B)、松本"EKKUN"英二 (Dr)からなる4ピースロックバンド

ケニーファルコンやジュニアを含めるともっと増えるかと思います。グレッチには相当な思い入れがあるようで、グレッチにおける新たなジャンルの開拓者と言っていい程です。工場見学の記事もあります。

John Frusciante/Red Hot Chili Peppers

フルシアンテと言えばストラトをイメージする方も多いでしょうが、ホワイトファルコンオーナーでもあります。ライブではCalifornication等で使用。調べた所1958年製だそう。

オールドのグレッチは数が少なく、特にホワイトファルコンは希少です。1998年にヴィンセント・ギャロから17,000ドルで購入したそうですが、今はもっとするでしょうね。

コユキ(田中 幸雄)/BECK

BECK(4) (月刊少年マガジンコミックス)

バンド漫画の金字塔、BECKから。個人的には、日本の特定の世代にホワイトファルコンを認知させたのはBECKだと思っています。

「世界一美しいギター」という言い回しが独り歩きしているのもBECKの影響だと考えます。

正確には竜介が「この世で一番美しいっていわれるギターだな」と評しました。

自分のギターを欲しがるコユキに、ホワイトファルコンを無期限で貸してあげるという斎藤さん。

こんな素晴らしいものをポンと貸してくれる斎藤さんの度量と優しさに、目頭が熱くなるシーンです。

このモデルなんですけど、2000年前後の7594 White Falcon Double Cutawayでしょうね。全く同じ仕様のものが存在しています。

単行本4巻の発売日が2000/7/17ですので同時期に存在したんでしょう。

ただ斎藤さんのことですから、ビンテージの可能性もあります。その場合100万円はする代物ですから、初心者のコユキにあげてしまうのは少々不自然か。

しかし初心者のコユキにグレッチ、しかもホワイトファルコン、その上不人気のダブルカッタウェイとはかなりのキワモノです。

ALEX TRIMBLE / TWO DOOR CINEMA CLUB

トゥー・ドア・シネマ・クラブのアレックス・トリンブルはデュオジェットを使用。少し判別が難しいですが、G6128T-DCM DuoJetだと思われます。

今更ながらハマって聴いているのですが、こんな素晴らしいバンドがどんどん出てくるイギリスが心底羨ましいです。

まとめ

以上、グレッチを愛好する方々でした。唯一無二のグレッチですが、その特性に魅入られた方は多いです。現行のグレッチはフェンダー傘下で神田商会が代理店です。標準的なモデルは日本の寺田楽器で制作されており入手は容易。実際かなり扱いにくいギターではありますが、欲しいギターを買うのが一番ですからね。悩むくらいなら買ってしまいましょう。現行のプレイヤーズエディションは薄めのボディやトレッスルブレーシングでハウリングを抑制していますから、歪ませても使いやすいです。

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