最初に、ポットの抵抗値について回答します。
- ボリューム:B1MΩ
- トーン:A1MΩ
が純正状態です。
私のジャズマスターは日本製。2012年製なのでフェンダージャパンが終了する少し前のモデルですね。因みにフェンダージャパンが無くなったのは2015年の3月です。
それでこのジャズマスター。残念ながら音は全然気に入ってなかったのです。良くいえばジャキジャキなんですけど、ハイがキンキンして耳が痛いんですよね。どう考えてもアタック音が出過ぎです。ちなみにUSAのジャズマスターはそこまでではないです。
普段はアンプ側でトレブルを大幅に削っていたのですが・・・。
今回は思い切ってポットとコンデンサを交換しようと思います。
購入したパーツ
ボリュームポット
B500kΩを購入。純正のB1MΩがとにかくハイを通しすぎるため、抵抗値を落とします。1/4の250kΩという選択肢もありますが、今回はそこまでの音の変化は望みません。ちなみにCTSのインチサイズです。めちゃくちゃでかいのでキャビティの大きさに注意。
トーンポット
特に交換する必要は無かったのですが、せっかくなので一緒に交換します。ボリュームポットと同じくCTS製のインチサイズを用意。抵抗値は交換前と同様のA1MΩ。
インチサイズポット用のナット
各ポットにワッシャーは一つずつしか付属していなかったため、シャフトの高さ調節用に後から購入。これを挟まないとノブの張り出しが大きくなり不恰好です。
コンデンサ
こちらもあまりこだわりませんが、せっかくなのでオレンジドロップに交換。値は交換前と同様の0.033μF(333J)ですが、やはりデカいのでキャビティに注意。オレンジドロップはリーズナブルですね。
ノブ
ポットの変更に伴いインチサイズのシャフトに対応したものに交換。SCUDのビンテージホワイトが格好良かったので購入。バツ印は間違えて買ってしまったアイボリーです。
ノブを外す
いつも通りの手順。もうそこそこ傷が入っているので気にせずマイナスドライバーでこじってます。傷つけたくない方は養生するか布で引っ張り上げてください。
ピックガードを外す
ピックガードなんてネジで留まっているだけなので簡単に外せます。ただ本数が多く面倒なためドリルはあった方が良いですね。この画像のような形に折り返せば配線が張らずに済むかと思います。
配線をメモる
元の状態が分からなくなると面倒なのでたくさん撮影しておきます。ジャズマスターの配線はシールド線なんですね。
パーツを交換してキャビティに収める
このサイズ差を見て下さい。キャビティに収まるか既に暗雲が立ち込めますが・・・。
ポットの向きを試行錯誤し、オレンジドロップはこの位置に収まりました。これでなんとか蓋が閉まります。フェンダージャパンのキャビティにインチサイズのポットとオレンジドロップはギリギリ入るという事を証明しました。
元々は弦アースが別のポイントにはんだ付けされていましたが、今回は一箇所に集約しています。何故別ポイントだったのかというと、製造上の都合ですね。ピックガード上に電子部品を配置しておいて、後からボディとドッキングする際に弦アースは別ポイントにはんだ付けしていると。既にはんだ付けしている箇所に足すのは面倒ですから。
アースポイントは一点に集約した方が良いらしいですが・・・。コスト優先のフェンダーらしい考え方です。
ナットも通しておきましょう。インチサイズはシャフトが長いので、これが無いと出っ張りすぎてしまいます。
はんだ付けの作業完了写真はできるだけ多く撮るようにしています。はんだ付けとワイヤリングに問題が無いというエビデンスを残すためですね。後から仕上がりを確認できて便利です。
弦アース不良を改善する
弦アースの配線とポット間の抵抗値がやけに高かったので原因を調べて改善しました。
ジャズマスターの弦アースはテールピースで踏んづけているだけでした。木が配線の形にへこんでいるのが分かりますね。配線も細すぎますのであまり良くありません。ジャズベースも全く同じ構造なんですが、これがよく接触不良を起こします。
別記事にてアース用のラグを使用して共締めにしたところ、無事抵抗値が下がりました。
完成
というわけで無事に蓋が閉まりました。
ノブもインチサイズに対応したものに交換。純正よりもフォントが細く、クリーミーで落ち着いた色合いです。
完成後の音について
配線を何度かやり直したので完成まで2時間ほどかかりました。肝心の音は・・・。
あんまり変わんねえ〜〜〜。
当初の目的は元の音を残しつつハイを抑える事です。ボリュームポットの抵抗値を落としたため、結果としてハイは落ち着いたのですが軽微なものでした。
アンプの目盛りで言うと1目盛りかそれ未満。
ただし抵抗値を落としすぎても元の音から遠ざかってしまいますので、あくまでも「ちょっと変わった気がする」という範囲に留めておこうと思います。
問題はパーツのアップグレードによるその他の音質変化。こちらは効果が一切分かりませんでした。
高価なポットとコンデンサに交換したことによる音質改善はほぼゼロと言っても良いです。仮に交換前よりも圧倒的に音が良くなったのだとしたら、元のパーツが壊れていたのでしょう。
特にトーンがフルテンであれば交換して音が変わるのはあり得ないです。
電装部品の交換は、音質よりも長期的な信頼性・耐久性に対する影響の方が大きいと思われます。
安ギターがそれなりに良い音が出てしまうのもそういう事なんでしょう。パーツの品質は音質へ大きく影響しないと。
ましてフェンダージャパンですから、使用されているパーツは最低限の基準を満たしていたということになります。
ただギターは様々な要因が出音に影響を与えますので、パーツを交換して「音が良くなった気がする」という事を積み重ねるのは良いと思います。しかし電装部品の交換は効果が薄いという事は間違いないので、優先順位はかなり下の方です。音が良くなったと感じたのだとしたらそれはあるべき音に戻っただけでしょう。
フェンダーのマスタービルダーが言うには、「ギターの音はほぼピックアップで決定する」んだそうな。木材もほぼ影響しないと。私も同感です。フェンダーギターにアルダーが採用されたのだって安いからですし。
得てしてユーザーは「高価なパーツに替えたら音が良くなった!」と思い込みたがるものですが・・・ヴィンテージとか、インチ規格とか、アメリカ製とか、そんな事は完全に気分の問題なのでした。
はんだとかネジで音が変わると主張する人も居ますが、ほぼ知覚できないレベルでしょう。
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