私はナンバーガールについて調べ物をしていた。その時あるサジェストワードが目についた。

「ナンバーガール 良さがわからない」というものだ。私には一体どういうことなのか理解できなかった。「良さがわからない」ということに疑問を抱いたのではなく、わざわざ「良さがわからない」というワードで検索する事がどうにも不可解だったのだ。
他人と同じ感想を抱かなければならない理由なんて、ない。「皆が良いと言っている」というのは単なる幻想であって、その価値観に迎合するのは単なる思考停止である。
人とは違う感想を抱いたことも、価値のあることだ。
それを単なる言い訳にするのは間違っているが、自分の感性を捻じ曲げる必要は無い。
理解する必要があるのか
「良さがわからない」のなら、それで終わりで良いと思う。ナンバーガールの良さが分からなかったところで何の問題も無い。そもそもオルタナティヴロック自体、万人受けするような音楽ではないのだから。
ナンバーガールは、いわゆる今どきの価値観に迎合したバンドではない。歌詞は意味不明、というか歌詞を聞き取ることすら困難なのだから。
たとえば、ビートルズやクラッシュ、あるいはオアシスの良さが分からないという人がいても、それは別におかしなことじゃないだろう。音楽の好みなんて、多様であるべきだ。
おそらくこういったワードで検索する人は「良さを理解しなければならない」といった義務感に駆られていたのかもしれない。だからこそまず聴いたうえで、自分には合わなかったという判断をした。
聴きもせずに批判する人が多いなか、自分で聴いて判断したというだけで十分に誠実だと思う。
好きになりたいなら

一聴して良いと思わなかったけれど、それでもまだ愛したいという気持ちがあるのであれば「とにかく聴きまくってみる」事はおすすめだ。
音楽とは不思議なもので、「聴いているうちに好きになってしまう」のである。もちろん、その曲を聴くと不快感を覚えるレベルなら話は別だが。
これは単純接触効果と呼ばれる心理現象であり、要するに身近なものには愛着が湧いてしまうというもの。それは人、音楽、モノ、色んなことに対して起こりうる。
恋愛についても例外ではない。例えば同じクラス、同じ部活、同じ職場等。頻繁に顔を合わせているうちに恋に落ちてしまうというのは、誰しも経験したことがあるのではないだろうか。好きな女性が居るのであれば頻繁に会うと良いし、逆に他の男と何度も会わせてはいけない。
この方法は荒療治的でもある。私もよく経験している事だが、ダサい曲を冗談で聴いていると好きになってしまうのだ。
単純接触効果は音楽の布教活動にも有効だ。仲間を増やしたい時、さり気なく聴かせてしまうのである。部屋でかけたり、車の中でかけたり、時には口ずさんでみたり。そうすると相手の方から「これって何の曲?」と興味を持ってくる。
私も昔、神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」を繰り返し聴いていたら、いつの間にか周りも皆口ずさんでいる事があった。本当に鳴り止まなくなってしまったのである。
つまりこういう事
ナンバーガールに限らず、音楽を無理に理解する必要はない。学校の勉強じゃあるまいし、苦手を克服しなければならないという事は無い。一回聴いてみただけで十分だし、万人受けする音楽では無いのだからその反応は正しい。
しかし理解したいという気持ちが僅かでもあるのなら、聴きまくってみるとよい。特に国や世代を超えた音楽にはパワーがあり、好きになる余地は多分にあるのだから。
一聴して好きになれなくても、噛み締めてみるとまた別の良さが見えてくるかもしれない。
これは蛇足だから書くかどうか迷ったが、敢えて書こうと思う。私の好きなナンバーガールのアルバムは、シブヤ ROCKTRANSFORMED状態だ。特に好きなのはIggy Pop Fan Clubと、狂って候。狂って候の2:48あたりから始まる田渕ひさ子のギターは哀愁たっぷりで、沁みる。本当は私は人に音楽をすすめたりするのは嫌いだけれど、わざわざこの記事を読んでくれた方々に、少しでもナンバーガールの熱量が伝われば良いと思う。








コメント
コメント一覧 (2件)
数ヶ月前にぼざろ経由でナンバガを知りました。自分が勝手にそう思ってるだけなんで違うかもしんないんですけど鉄風はだいぶ一般受けしやすい部類だと思います。あと、ラストライブのOMOIDE IN MY HEADは初見の人に絶対聴いてほしいですね。上手いこと表現できませんがエモ過ぎます。というかラストライブはジャケット含めてヤバいです、全部。初めにYouTubeで透明少女のMVを見たときはボーカルの音小さいし何言ってるか分からんしで全然好きになれなかったのにもう今はイントロ流れた瞬間即ブチ上がっちまいます。これが単純接触効果によるものなのかはもう分かりませんがとにかくナンバーガールを知って、好きになって良かった。
大学時代に周辺でめっちゃ流行っていてジミヘンとベルベットとニールヤングが好きだった私は「軽薄な音楽がぁ!」と思っていましたがある日誘われていった心斎橋のライブハウスで生のナンバガをみて帰り道で誘ってくれた友達に「めちゃくちゃかっこよかったですすみませんでした」と謝ったのは良い思い出です
生のライブがすごいよねナンバガ。