フェンダーとギブソン。これらのギターメーカーを知らない人なんて居ないでしょう。しかし一時期、ギブソンのギターをお店で全く見かけなかった事を覚えていますでしょうか。
楽器通販最大手のサウンドハウスですら、未だにギブソンの取り扱いはありません。
しかしその沈黙を打ち破り、ようやくエピフォンの取り扱いが始まったようです。
今まで取り扱いが無かった理由について、斯様に説明されています。
残念ながら現在Gibson、Epiphone製品は、限られたごく一部の楽器店のみで販売されているというのが実情です。現状では、弊社でもEpiphone製品を取り扱っておりませんが、今後状況に変化があれば、再開できるように尽力したいと考えています。
http://bbs.soundhouse.co.jp/bbs/BBSDispMessage.asp?ThreadNo=15761
このように当時のギブソンは、取り扱い店をかなり限定していたようです。どのような意図があったのかは分かりませんが、販売店に条件やノルマを課していたのだと想像できます。それを受け入れた小売店だけで販売されていたと。色々な企業判断があるとは思いますが、結果として「どこにもギブソンが売っていない」という状況を招きましたので、あまり良いことでは無かったのではないかと。そういういった状況が続く中で、ついには倒産してしまったわけですからね。
大手の島村楽器でさえギブソンの取り扱い開始をアナウンスしたのは2013年。明らかにおかしいですよね?どういった経緯があるのか、その歴史を紐解いてみようと思います。
品質の低下
ギブソンの人気があったのは今となっては過去の栄光で、残念ながら品質と人気は低迷していました。「ギブソンは質が悪いからウチでは取り扱いをやめた」という証言も聞いたことはありますが、決定打ではないような気がします。だって低品質の商品なんていくらでも並んでますよ?島村楽器自社製品のBUSKER’Sとか。
倒産の噂
ギブソンの経営が危うくなった背景として、無理な多角経営がありました。オンキヨーとの提携、ティアックの買収、Sonorの買収など。幅広い音響メーカーを傘下に収めることによって、楽器だけに留まらないより大きなオーディオメーカーへと成長する狙いがあったのでしょう。しかしそれらはことごとく失敗。DTMerにとっては、Sonarを買収した挙げ句ぶっ潰したのは忘れられない出来事でしょう。
そうしているうちに、ギブソンの経営ってちょっと危なくない?という雰囲気が形成され、小売は敏感に反応したのだと思います。事実、2018年5月に破産したわけですからね。嫌な予感は現実のものになってしまったと。
代理店時代
ギブソンはかつて、日本国内では山野楽器が代理店を務めていました。その代理店契約が終了したのが2006年で、2007年からはギブソンが設立した日本法人「GIBSON GUITAR CORPORATION JAPAN」(以下ギブソンジャパン)での取り扱いになりました。
思えばその頃まではどんな小売店でもギブソンのギターを見かけましたし、少なくとも「ギブソンのギターが売ってない」なんて印象を抱いた記憶はありません。
つまり山野楽器時代までは小売店に対して幅広く卸売が行われており、健全な市場が形成されていたのでしょう。代理店方式が上手く機能していたという事ですね。
ギブソンジャパンになってから
山野楽器との代理店契約が終了し、ギブソンジャパンの直販方式になってから何が起きたのか?小売店との年間契約の導入です。
つまり、「ていの良い販売ノルマを課した」という事です。
ギブソンのギターを年間に100本売ってくださいね。売れ残った分は店舗が買い取って在庫してください。
このような契約です。めちゃくちゃ酷い内容ですよね?販売ノルマが達成できなければ、どんどん赤字と不良在庫が積み重なっていくわけですから。実際のノルマ本数は知る由もありませんが、ギブソンのギターなんて売れても月数本だと思います。こんな契約内容では、個人店ではとてもじゃないですが販売できません。
ギブソンのギターを売らせてやる。売れたらマージンをくれてやる。売れなかった分はお前が買い取れ。
そういった驕り高ぶりがあったのでしょう。
それに反発した小売店からそっぽを向かれた結果、何処にもギブソンのギターが売っていないという事態が起きました。超のつく殿様商売は日本では失敗に終わりました。
その末路が経営破綻です。
改めて、サウンドハウスでのエピフォン販売開始について
おそらくですよ。ギブソンが経営破綻して、リーバイスの社長を迎え入れて再建する中で、ギブソンの腐った企業体質が多少マシになったのではないでしょうか?ノルマが軽くなったとか、無くなったとか。あるいはマージン率が変わったとか。相変わらずギブソンは無いですが、エピフォンだけでも売り始めたというのは消費者にはありがたい事です。
ヘッド形状について
EpiphoneはGibsonとの差別化のため、敢えて異なるヘッド形状を採用しています。そのあまりにダサいフォルムから大変不名誉なあだ名で呼ばれていましたし、削る人さえ居る始末でした。
しかしこの度、ヘッド形状が変更されて格好良くなりました。相変わらずギブソンとは少し異なるのですが、この程度でしたら全く許容範囲です。
今までヘッド形状を理由にエピフォンを敬遠していた人もこれなら納得できると思います。
まとめ
私はギブソンのギターは大好きですが、その企業体質は大嫌いでした。思えばマストドンのビル・ケリハーはギブソンの倒産を予見していましたしね。
今後ギブソンはどう変わっていくのか?実店舗でのギブソンやエピフォンの取り扱いが増えればそれが答えとなるでしょう。サウンドハウスで少なくともエピフォンの取り扱いが始まった事。それが体質改善の第一歩である事を願います。
参考URL:
マストドンのビル・ケリハー「ギブソンはアーティストをクソ扱いする。ギブソンは終わってる」
コメント
実際は全然違う理由ですが何か根拠があるんですか?
じゃあ勿体ぶらずに理由と根拠を書いて行けば良いのに、わざわざ噛み付いてくる理由って一体何なのでしょう?
ギブソンや小売がが公開して無い事をなぜ貴方に公開しなければならないんですか?妄想も大概にしとかないと痛い目見ますよ。
ですから、ギブソンが「売ってない理由」に関してはサウンドハウスのQAをそのまま根拠としました。エピフォンが「売ってる理由」に関しては単なる憶測として留めています。それに対し貴方はどのような不満を抱いたのですか?
仮に貴方が真に正しい情報を持っているのだとしたら、それを根拠として訂正を要求すれば良いだけの話です。
繰り返します、ただ噛み付いてきた理由は何ですか?