エフェクターギター

ARIONエフェクターの思い出を語る

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ARIONの歴史は1970年台まで遡る。公式サイトによると前略はこうだ。

嘗て「ARION」製品はプリンス通信工業株式会社で製造販売されておりました。私は1973年同社に入社、開発、設計、製造、を担当し「ARION」ブランドでアンプ、チューナー、エフェクターを製造、主に世界最大のマーケットであるアメリカへ輸出しておりました。

有限会社上野開発センターを1986年に設立し、台湾工場で「ROCK TEK」ブランドのエフェクターを製造開始しました。

1996年に「ARION」ブランドをプリンス通信工業株式会社から引き継ぎ現在に至ります。製品はスリランカで製造しております。

http://arion-ukc.co.jp/company/information

我々が知っているのは1996年以降のARION製品だと思う。因みにROCK TEKのエフェクターもプラスチック製、外しやすい(外れやすい)電池蓋などARION製品と似通っている。他にもYAMAHA、ARIA、ZOOM等、昔の日本製エフェクターはプラスチック製が多かった。

私がARIONエフェクターを知ったのは中学生の時で、お金は無いけどエフェクターが欲しいという典型的な貧乏学生であった。そんな折、あぽろんの通販サイトを眺めているとARIONエフェクターを激推ししていた。安くて美味いエフェクター!という魅惑的な響きで、2000円〜3000円という破格の値段で売られていた。

特に人気だったのはTUBULATOR MTE-1とSTEREO CHORUS SCH-1(SCH-Z)、後はSTEREO PHAZER SPH-1等。当時2chの安エフェクタースレでも大人気で、特にMTE-1の所有率は高かった。みんなとりあえず買ってみたり改造ベースとして楽しんでいた。当時はYouTubeなんて存在しなかったから、みんな音声ファイルをアップロードして批評し合っていた。

その様子は過去ログで確認できる。

https://music4.5ch.net/test/read.cgi/compose/1130915000/

ただ私の場合文化祭でバンドをやるような機会が無かったし、何より挫折組だったのでエフェクターなんて必要無く、結局購入には至らなかったのである。今思えば無理にでも買えば良かったと思うが、巡り巡って今更入手できたので良しとしよう。

私の手元にあるのは3つ。

TUBULATOR MTE-1とSTEREO CHORUS SCH-ZDとMETAL MASTER SMM-1だ。その細部を紹介しようと思う。

STEREO CHORUS SCH-ZD

私はその時コーラスを探していて、BOSSのSUPER CHORUS CH-1が良いかなあなんて思っていたのだが、偶然にもSCH-Zの存在を知った。調べていくと名機とされているSCH-1の後継品であることと、音量が上がってしまうという欠点があることが分かり、公式のモディファイ品であるSCH-ZDの事も知ることができた。こちらは音量が上がらないよう欠点を解消したモデルである。

SCH-Zのサンプルを聴いていたら、まさに私の求めていた音だった。こういう深めで温かみのあるコーラスが欲しかったのだ。

そうなると話は早く、私はメルカリでやや相場より高い美品をさっさと買ってしまったのであった。5300円。商品説明に違わずほぼ新品で感激した。

音を出してみると評判が良いのも納得。実売価格3000円程度でこんなに良い音が出てしまうのだから。ARIONは概ね「安い割に良い」という評価だが、ステレオコーラスのうねりは唯一無二だと思う。コーラスのかかりが強いため好みが分かれると思うが、私は大好きだ。おそらく手放さないだろう。

TUBULATOR MTE-1

欲しいと思っていた時、タイミング良くハードオフで売られていたのを発見し購入。2200円だった。個人的にこれは安エフェクター界の決定版だと考えている。名前からしてTS系だが、元ネタはTS-5だと言われている。とはいえ定数は結構違うので、完全なクローンとは言えない。

癖の少ないオーバードライブで、他のTS系と同じくチューブライクな歪み。他のTS系よりも中域が強く、適度に丸みを帯びた使える音だ。音圧があるとも取れるし音が籠るとも取れるが、私は気に入った。

これはTSを目指しつつコストダウンしていった過程で、偶発的に良い音になってしまったのではないだろうか。例えばこれをモディファイして定数を変えたり高品質のパーツに交換したとしても、求めるサウンドにはならないと思う。もしかしたらプラスチックケースでさえも、良い音に寄与しているのかもしれない。

実売価格は当時2000円前後で、下手すれば1000円台だった。コストパフォーマンスにおいて、これを超えるオーバードライブは後にも先にも存在しないだろう。

自宅環境では全くノイズが無いが、スタジオに持ち込んだ場合にはノイズを受ける可能性がある。そうなった時はシールド処理やアルミケースへのスワップを検討するべきだろう。

ちなみにバイパス音は結構変わる。音痩せとも言えるし、イコライジングとも言える。私は特に気にしていないが、トゥルーバイパス化してしまっても面白いかもしれない。

METAL MASTER SMM-1

TUBULATORと一緒に売られていたためつい買ってしまった。2750円。こちらの方が幾分か状態が良かったためそのような値付けだったのだろう。

おそらくBOSSのHM-2のクローンだが、正直これは使えない。名前からしてメタルを意識したディストーションだとは思うが、音の粒が荒くジャリジャリなサウンドだ。これでメタルを名乗るのは無理がある。

特徴的なのは中央のイコライザだが、どうも効きが強すぎて使いづらい。ローを上げると籠る、ハイを上げるとキンキンする。多分これはお蔵入りだろう・・・。古めのハードロックには向いていると思う。

また、これだけエフェクトON時のホワイトノイズが酷い。まあディストーションやファズは特性上ノイズが乗りやすいが、ろくに歪ませていないのにノイズが乗るのは問題だ。

ARIONエフェクターは評判が良いけれど、使えないものもあるという一例。

最近新品を見なくなった

昔はどこでも見かけたARIONのエフェクターだが、ここ数年は新品を見ていない。しかし流通数が多いため中古市場の在庫は潤沢だ。人気があるせいか当時の新品とあまり変わらない価格で取引されているが、元々安いためさほど問題ではない。

新品が出ない以上は、状態の良い物はいずれ無くなってしまうだろう。私はメルカリやハードオフで運良く見かけて入手することができた。私はこの手の衝動買いを勝手に「保護活動」と呼んでいる。ハードオフや押し入れで朽ち果てていくのを見ていられない性分なのである。だったら私の手元で大切にしたい。

ブティック系とかプロ御用達の高級機材よりも、こんな数千円のプラスチック製エフェクターの方がよっぽど愛おしいのだ。

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