これはSchottの613。私にはもったいないくらいの良い服だ。
私は古着が好きで、とりわけビンテージのミリタリージャケットやライダースジャケットの収集を趣味としている。
しかし古い製品の宿命として、ジッパーの破損は避けられない。
破損個所はどれも同じで、蝶棒だ。
これは全ての古着に共通する問題である。
蝶棒は、ジッパーを閉めるときに差し込む長い部分だ。
布をテープで補強し、その上からカシメる構造になっている。
しかし補強しているとはいえ、繰り返し開閉することでほつれてしまう。
ほつれるだけならまだマシだが、最終的には完全に破れるか、蝶棒が外れてしまう。
そうなると修理は困難だ。
だからそうなる前に、接着剤で固めておくと良い。
ほつれている箇所に、アロンアルファを染み込ませる。
2~3滴で十分であるため、慎重に。
多すぎると、今度は厚みが出て閉まらなくなってしまう。
仮にそうなった場合、不要な部分をカッターナイフで削り落とすか、ヤスリで均せば良い。
が、やはり面倒なので付け過ぎないようにすべきだろう。
カチカチに塗り固めて、開閉もスムーズになった。これで当分は大丈夫だろう。
無理すると状態が悪化してしまうので、接着剤はあくまでも最小限、慎重に。
ついでに、糸飛びやほつれがある場所にも一滴垂らして、短く切っておくと良い。
しかしこれは、正式な使い方ではない。
アロンアルファが余計な部分に付着したら面倒だし、周囲が白化してしまう事もある。
布地に過剰に染み込んだ場合には、急速に化学反応が進み、熱を持ち危険だ。
衣服に対してアロンアルファを使うのは、あくまで応急処置である。
出来れば布専用の接着剤を用いるべきだろう。
というわけで、以上が古着を買ったときの修繕ポイント。
洋服に限らず、ビンテージ品の維持にはDIY精神が肝要だ。
ちなみに今時は、なんと蝶棒”だけ”が売られている。
務歯(ムシ)をいくつか外して布が破断していない部分を露出させ、接着剤を塗り、新しい蝶棒を取り付けるという寸法だ。
ジッパーの修理は不可能と言われていたが、最近は何でも売られているから、それも可能になった。
凄い時代である。
コメント