フェンダーはジャズマスターを始めとした欠陥ギターを数多く輩出しておりますが、ギブソンにも欠陥ギターは存在します。その名はギブソン・SG。基本的にギブソンのギターは設計が良く目立った欠陥というのは少ない印象です。レスポール系の弾きやすさは言うまでもありませんし、ES系も合理的な設計です。
SGはレスポールの後継という重すぎる十字架を背負って開発されましたが偉大なる兄を超えることはできませんでした。
ボディは軽量化を狙って薄く小さく設計され、レスポール譲りのコントロールは一見使いやすそう。ダブルカッタウェイはSGの象徴ともいえるもので、「エレキギターっぽさ」が色濃く現れていますね。何となくヘヴィな音楽をイメージします。しかしその薄く小さく鋭く尖ったボディシェイプが最大の特徴であり欠陥でもあるのです。
最大の欠点、重量バランス
ダメな理由はSGを手に取ればすぐに分かります。それは「重量バランスが最悪」であるということ。ギターというのはヘッドをやや立てて演奏しますから、ほとんどのギターは自然とそういったポジションになる重量バランスで設計されています。
ストラトやレスポールなどは手を離してもちょうどいい角度がキープされますね。しかしSGはヘッドが重くボディが軽いためヘッド側が落っこちてきてしまいます。ストラップピンの位置も悪くネックの裏側に配置されています。
レスポールは重かったためその反省を活かした所、軽くなりすぎてしまったんですよね。その結果重量バランスが崩れてヘッド落ちという持病を抱えてしまったと。
実際に持つと分かるのですが、常にギターを左手で持ち上げながら弾くことになってしまいます。実はこれって結構辛い。
中にはヘッド落ちしない個体もあるそうですが・・・。
ヘッド落ち対策はあるのか?
こちらはヘッドアップストラップという製品でストラップにウェイトを入れて重量バランスを改善することができるのですが現在は入手できなさそう。
とはいえストラップ側に鉛を仕込むという事自体は簡単ですので、釣具屋さんで鉛を買ってくると良いでしょう。あとは適当なポーチに鉛を突っ込んでストラップに装着。
ボディに重りを貼り付けるプレイヤーもいらっしゃいますが、綺麗に仕込むのは難しいですね。本体の加工が不要なのでお手軽ではありますが・・・。しかしせっかく軽量化をねらって設計されたボディに、重りをベタベタ貼り付けてしまうのは本末転倒のような気がします。あとはストラップピンの位置をカッタウェイ部分に移設するというのもありますが、木部にはあまり手を加えたくありません。
レザーストラップを使う
お手軽な策としてはストラップの交換があります。革製のストラップは摩擦が強く滑りにくいですから。ナイロンやポリはツルツル滑りますのでSGとの相性は最悪です。服との相性もありますね。シャカシャカした服とSGは合わせない方が良いです。綿の服にしましょう。
ただ今度は服が一緒に持ち上がってしまうので焼け石に水かもしれません。
ペグを交換する
グローバーペグ(ロトマチックペグ)はかなり重量があるためヘッド落ちの原因となります。大体一つあたり36g程度。クルーソンタイプは24gくらいなので、トータルで72gも変わればバカになりません。更にモーメントの関係で本体から遠いほど先端の重量差の影響が大きくなるため試してみる価値は多いにあります。
ロングヴァイブローラを取り付ける
トレモロユニットを取り付けてボディ側の重量を稼ぐといった手法ですね。ただロングヴァイブローラは単なる板バネであまり重量がなく改善しない場合もあります。この辺りは個体差ですね。またロングヴァイブローラはボディにビス留めなので少々リスクが大きいです。
ビグスビーを取り付ける
ビグスビーを取り付けて重量を稼ぐ方法も。SGであればB5とB7、あるいは廉価版のB50とB70が適合。B5はフラットトップ向け、B7はレスポールなどのアーチトップ向けですがブリッジの構造が共通であるため取り付け可能。ビブラメイトを使用すれば無加工で取り付け可能である上により重量を稼げて一石二鳥。
B7の方が重くボディ後方に伸びていますので重量バランス改善効果は大きいでしょうね。
ちなみにビグスビーには偽物が存在します。何と本物の10分の1程度の価格です。外見上は遜色なさそうなので安ギターに遊びで装着する分には良いですね。あんまり褒められた事じゃないですが・・・。
総括
SGはプレイヤーに工夫を強いるギターです。使っているうちにヘッド落ちは気にならなくなるという意見もありまして、プロもあまり対策せずに使っている傾向にあります。やはりギターは腕次第ということでしょう。ただ私のような人間は手を加えずにはいられません。
後継機がダメダメというのはギブソンとフェンダーで全く同じ傾向ですね。ギターの世界には兄を超える弟は居ないようです。
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