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音楽

俺たちはもう一度BECKを読む

バンド漫画の金字塔、それはBECK。

何の取り柄もない少年・コユキが、人として、男として、バンドマンとして。世界を股にかけて活躍するに至るまでの成長物語だ。

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どんな話?

一言で言うと、平凡な少年が音楽に目覚めて成功を掴む話である。

コユキには自覚が無かったが、歌に関して凄まじいまでの才能があった。BECKの宿敵レオン・サイクスでさえコユキのソロデビューを直談判する程だ。

それだけだと単なるなろう系だが、コユキには逆境が多い。お人好しな性格であるが故に才能が埋もれていたし、ギターに関しては完全なる努力型だ。

バンドとしても逆境だらけだ。国内では絶大な影響力を持つプロデューサーの蘭から妨害されているし、アメリカではプロデューサー兼ギャングのレオン・サイクスに目をつけられている。レオン・サイクスの所有する弾痕のあるギター・ルシールを竜介がパクってしまったからだ。

しかし仲間が増えていったのもコユキがお人好しであったためである。蘭の手先も、コユキの人間性を「何て良いヤツなんだ」と評し、コユキを陥れたことを後悔していた。それが一時的に仲違いしていた千葉と和解するきっかけでもあった。レオン・サイクスでさえコユキには多少気を許し、自らの出生を語った。

また作中に登場する女性たちはコユキの器量を見抜いているし、最終的には4人もの女性から言い寄られている。その辺り女性の方が敏感である。

コユキが逆境を跳ね除け、仲間を増やし、音楽にのめり込んで行くという過程が熱いのである。

もちろんこれはリアルさを追求した話ではない。

しかし楽器やライブの描写が繊細で、物語の説得力は非常に強い。リアルでは無いがリアリティはあるのだ。

BECKは荒削りだが実力はある。彼らの信念は敵を捻じ伏せ、逆境を蹴散らし、敵でさえもコユキの影響を受けていく。そこにカタルシスがある。

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欠点もある

その一方で今ひとつな部分もある。コユキがバンドを始めるまでに時間がかかりすぎだったり、蘭の妨害が執拗すぎるのだ。

途中コユキと千葉が蘭の妨害工作によって険悪になってしまうのだが、これは正直引きずりすぎだった。

原因は、千葉には障害を抱える兄が居て苦労人であるという事を、コユキが蘭にうっかり喋ってしまったためだ。正直これはコユキが悪いが、コユキはまだまだ未熟な子供であり言って良い事と悪い事の分別がつかなかったのだ。そもそもそれを言わせたのは蘭の策略だったのだから、ここは千葉が大人になって水に流してやるべきだったのだ。また「千葉不要論」という痛いところを突かれた結果でもあったから、後半は完全に千葉が一方的に拗ねているだけだった。竜介とは即効で和解したのに、何故コユキとはそんなに引きずってしまったのか。読んでて最もストレスの溜まる部分だった。

そして一番の問題は、「BECKの音楽性が分からない事」だ。もちろん漫画だから、どんな音なのかは読者の想像に委ねられている。

ライブシーンは迫力があり、緩急もあり圧倒される。しかし歌詞も何も分かったものではなく、観客が作中作を「スゲェ!」「こいつら本当に日本人か!」「何てファンキーなベースだ!」と褒める事でしか、BECKの凄さは伝わってこないのである。せめて日本語歌詞でもあればもう少し分かりやすかったのに。作中で最強の声を持つコユキも、一体どのようなボーカリストなのか分からないのだ。

まあコユキの美しい声と千葉のラップが両立しているあたり、おそらくはミクスチャーバンドだろうと思っている。

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終盤にかけての盛り上がりは最高

終盤、デビルズ・ウェイを巡る攻防は最高だった。デビルズ・ウェイはエディが遺した最後の曲。聴いたことがあるのは、偶然電話に出たコユキだけ。その後エディは死んでしまい、分かるのは曲名と僅かなフレーズだけだった。

コユキの頭の中にしかない音楽の欠片「デビルズ・ウェイ」。

それをBECKのメンバー達で完成させていく・・・この展開はあまりにも熱かった。

BECKはデビルズ・ウェイで観客を圧倒し、コユキは「さすがエディの曲だ」と独白するが、エディの幻が「君の曲だよ」と告げる。そう、デビルズ・ウェイは世に放たれた音楽の欠片だ。曲を完成させ、会場を沸かせたのはBECKでありコユキなのだ。

ちなみに別のバンドが偽物のデビルズ・ウェイを演奏するが、観客には一発でバレてブーイングを受けていた。

悩み多き男・千葉

何と千葉は、最終話目前でも自らの存在意義を疑っていた。あれだけ観客の心を掴み、フライヤーで大きく取り上げられたにも関わらずだ。あくまでBECK内での評価を求める千葉に対し、大好きだと告げるコユキ。それもまた、十分な存在意義だろう。

ラストも最高

バンド漫画と言えばラストで解散するパターンが多いが、しかしBECKは「まだまだ続く」エンドなのである。

海外で一旦の成功を収めたBECKだが、まだまだこんなもんじゃない。BECKの事だし、前途多難だろう。元々立ち上がりは悪く、不安定なバンドだ。それでも彼らは、いくつもの危機を乗り越えてきた。きっともう、つまらない理由で解散したりはしない気がする。

おそらく、やりきった後にアッサリと解散してしまうような。BECKはそういうバンドだと思う。

BECKが伝えたのは、彼らの信じる音楽のチカラ、バンドのチカラ。延いてはロックのチカラだった。

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がんばれジャズマスター

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