音楽評

ヒカシューを聴こう、観よう。

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私はヒカシューが大好きである。

ヒカシューとの出会い。それは大学生の頃だった。

私は音楽を人に勧めたり、勧められたりするのは好きではない。音楽とは出会うものだと考えているからだ。人に勧めようだなんて押し付けがましいと思う。そんな中ヒカシューは、私にとって自力で偶発的に出会ったマスターピースだ。だからこそとても大きな存在だし、大切にしたい。この記事もヒカシューの推薦記事でなく、「好き」の表明だ。

ロクに大学にも行かないクズだった私は、家でニコニコ動画を見ていた。とにかく変な音楽に飢えていた私はその手のハッシュタグで、少々アンダーグラウンドなものばかりを探していた。

そしてヒカシューとぶち当たった。その時見たのは「びろびろ」のMVだ。まずタイトルからして衝撃だった。そんなタイトルの曲が存在するのか。

MVも衝撃だった。巻上公一氏の顔、顔、顔。なぜドアップなのだ。なぜグニャグニャにするんだ。

それからわずか数日、運命の日がやってくる。なんと友人がヒカシューと対バンをするそうなのだ。これは行くしかない!!!しかし私は行かずに、家で寝ていた。ヒカシューのライブに行くのが怖かったのである。

そして私は大学を辞め、大分の実家でゴロゴロしていた。何となく近所のライブハウスの情報をチェックしていると・・・えっヒカシュー大分来るの?

なんとヒカシューが私の実家から数分のライブハウスに来るというのである。一度はヒカシューから逃げた私だったが、実家のすぐそばに来るとあってはもう腹を括るしかない。チケットを予約し、その日が来た。

ヒカシューのライブは亜空間だった。

まず技術の高さが異次元だ。その辺のバンドが上手いとか下手とかいうのを完全に超越しているし、メインボーカルがテルミンを扱うバンドなんて私は知らない。

というか全員が複数の楽器を扱うし、何ならその辺で買ってきたようなオモチャも彼らにとっては楽器だ。純粋に音を楽しんでいるのである。

巻上氏は次々と楽器を持ち替え、操る。彼の喉歌ホーメイ(ホーミー)も楽器の一部だ。

MCも最高に楽しい。巻上氏の話は経験と知識に裏打ちされており、大変に聞き応えがある。トゥバとかホーメイとか、彼が居なければ私はそれを知らなかっただろう。三田超人が奇天烈なことを口走る。巻上氏が極めて常識的なツッコミを入れる。清水氏が時折奇声を上げる。何て楽しい大人たちなんだろう。巻上氏は中国武術歴28年を公言しており、ライブで飛び蹴りを披露した。あまりの跳びの高さに、私は開いた口が塞がらなかった。彼はホーメイや口琴に留まらず、武術まで習得していたのだ。そういえば私が初めて巻上公一氏を見た時の第一印象は「ガタイが良い」だった。

私がヒカシューを聴き始めたのは2000年代。過去のメンバーについては知識が無いが、現在のヒカシューのメンバーは最高にクレイジーだ。音を楽しむ達人たち、いや、怪人と言っていいかもしれない。

初めてのライブ会場にて私は舞い上がっており、退場中の巻上さんに思わず声をかけてしまった。今思えば少々礼を欠く行動であったにも関わらず、巻上さんはわざわざ振り返って歩み寄り、握手をしてくれた。あの大きくて分厚い手の感触を、私は忘れない。

ちなみに「白いハイウェイ」はクラリオンカーステレオのCMタイアップ曲だし、「不思議をみつめて」は「超時空世紀オーガス02」の前期OPだ。「パイク」はPOLYSICSがカバーした。

つい最近はヒカシュー恒例のクリスマスライブで平沢進氏と共演したし、両者共に精力的な活動を継続している。

現在も毎月ライブをしているので、是非一度足を運んで見て欲しい。ヒカシューの音で共にトリップしよう。

ヒカシューに出会えた事、心から感謝している。

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