
定期的に炎上を繰り返す、この問題。
そもそも、何故こんなにも見解が分かれてしまうのだろう?
それは結局、正解が無いからであろう。
マーチンとしては、塗装やフレットの酸化を理由に、レモンオイルの使用を推奨していない。
指板にレモンオイルを使ってもいいですか?
Martin Guitar は、指板にレモン オイルを使用することを推奨していません。レモン オイルに含まれる酸はギターの塗装を劣化させます。また、フレットの腐食を早め、弦の寿命を縮める可能性があります。
一方ギブソン。公式のメンテナンス手順には、レモンオイルの使用が記載されている。

もう1枚100%コットンのクロスを用意し、指板オイル(レモンオイル)を指板全体に与えます。5分程度の間、オイルを指板にしみこませます。
このように、メーカー間においても見解がスッパリ割れているというのが実情だ。
めんどくせ~~~。
しかし当サイトとしては、「きちんとした製品を適量塗布する」ことは問題無いと考えている。
では、何が問題となるのか?
それは適切でない製品の塗布とか、あるいは塗りすぎである。
良くない製品の特長としては、安く、大容量で、サラサラとしており揮発性が高い。
こういった製品は汚れ落としには適しているが、指板の保湿という観点からは不向きである。
油は油を溶かすから、それが揮発すると、指板に必要な油分までもが奪われて、かえって乾燥してしまうという事になる。
私自身、ローズウッド指板に安物を塗布して、導管が白く粉を噴いてしまった経験がある。
また初心者にありがちなミスだが、「指板に直接垂らす」のもよくない。その時点で塗りすぎになってしまうし、付着した部分がシミになってしまう。
塗る場合は布に取ってから、薄く塗り広げるのが鉄則だ。
また頻度も重要で、「弦交換の度に塗る」というのは少々過剰かもしれない。
半年に一回、あるいは年に一回ぐらいでも十分であろう。
このようにレモンオイル論争においては、「モノによる」「量による」としか言えないので、いつまでも決着がつかずに燻ってしまうのである。
しかしレモンオイルが大活躍する例外がある。
それは、ジャンクギターを再生する場合だ。
ジャンクギターというのはホコリが堆積しており、指板は乾ききっている。だから「塗らないよりはマシ」な状態であることが多い。またボディの汚れ落としにおいては、レモンオイルは非常に効果が高い。
だから、元々ボロボロなジャンクギターの再生においては大変有効なのである。
まあジャンクギター修理が趣味でない人は、しっとり感の強い高品質のレモンオイルか、全く別の専用品を買った方が良いだろう。
私が愛用しているのは、ダダリオのレモンオイル。
こちらは揮発性と保湿性のバランスが良い。
最近の主流としては、フレットボードジュースといったミネラルオイルがある。
あるいは、蜜蝋ワックスとか。
・・・とまあこんな感じで、数多の専用品があり、全てを紹介していてはキリが無い。レモンオイルは一旦トレンドを外れた感があるが、「蜜蝋配合のレモンオイル」などもあり、その需要は根強い。
何かを塗りたくなるのがギタリストの性、といったところだろうか。
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