DIYエフェクターギター

ARIONエフェクターのPSA化改造

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最近、立て続けにARIONのエフェクターを入手しました。モノはTUBULATOR MTE-1、METALMASTER SMM-1、STEREO CHORUS SCH-ZD。

複数使っていて、たまたまLEDの明るさがそれぞれ異なることに気が付きました。直感して、これはARIONの旧製品にありがちな電圧降下だと分かりました。

要するにARIONの旧製品は、BOSSの旧製品と同じくACA電源に対応しています。そのためPSA電源を使うと電圧不足が発生し、思ったようにエフェクトがかからないといった問題が発生します。

今回はこれをPSA電源対応に改造したいと思います。

普通のACアダプタを使うには改造が必要

BOSSの旧製品も同様に、ACA電源に対応しています。ACA電源は約12Vを出力していますから、エフェクターの内部で9Vまで降圧しているというわけ。

PSA電源ははじめから9Vを出力していますから、それをさらに降圧してしまうと電圧不足が起きてしまうのですね。

電圧不足というのは、電池切れと同じことです。LEDのインジケーターが暗い、音が小さい、エフェクトがかからないといった症状が発生します。

もっとも、電圧が足りないからといって、全く動作しないというわけではありません。電池で動く玩具と同じで、緩やかに性能が落ちていき、最終的には動かなくなると。

ちなみに「電池切れの音」を好む人は結構居て、ブライアンメイがそうですし、電池切れをシミュレートできるパワーサプライもあります。

BOSSのACA-100対応エフェクターのPSA-100対応化(改造) : おろかなるひとり言
現在所有しているBOSSのエフェクターでOD-2とCS-2の2つはACアダプターとしてACA-100が指定されています。このACA-100は既に廃盤で最新のPSA-100では電圧が足りず動作が難しい状況です。PSA-100では出力電圧が9Vですが、ACA-100は9Vではなく、12Vぐらい出るらしいのです。

参考までに旧BOSS製品の回路を見てみると、AC電源を使った時にだけ、GND側に抵抗とツェナーダイオードが直列に接続されていることが分かりますね。

これは平滑回路とは言えないちょっとファジーな構成で、あくまでも抵抗による降圧と、ツェナーダイオードによる回路保護だけです。ARIONの製品もほぼ同じ構成ですが、こちらは抵抗のみ。

試しにPSA電源を接続して電圧を測ってみたところ、確かに9Vを期待する場所に6Vしか流れていない事が分かりました。

この抵抗をジャンパー線に置き換えるなりすれば、PSA電源が使えるようになるはずです。

STEREO CHORUS SCH-ZDを改造する

※画像は必ずしも時系列順ではないため、既にジャンパーに置き換わっている箇所もあります

それでは実際に、ARIONのエフェクターをPSA電源対応に改造してみましょう。検体はSCH-ZD。

ARIONの構造は簡単で、プラスドライバー一本で裏蓋、プラスチック板、基板、ケースに分離できました。基板はバッテリースナップを穴から引き出しながら外します。ポットのホルダーは突起が出ている方が基板側なので間違えないように。私は組み立て時逆に入れてしまい蓋が閉まらないという凡ミスを犯しました。

しかしこれ、実に手の込んだ回路です。数千円で手に入るエフェクターとは思えません。

外すべきはACアダプタ使用時のみ使用される回路。ARIONの場合は抵抗が一つ繋がっているだけです。この一箇所の抵抗で回路全体の電圧を落としていると考えられます。

SCH-ZDの場合、抵抗値は150Ωでした。12Vを9Vに落としているとしたら、150Ωで3Vの電圧降下をさせているわけですから、回路全体には3/150で20mAの電流が流れている事が分かります。機種によって回路を流れる電流量は異なりますから、ここの抵抗値も機種ごとで違うはずです。

この抵抗をジャンプすればPSA電源でも使えるようになるはずです。

先程の抵抗を、ジャンパー線や0Ω抵抗に置き換えれば完了。LEDは明るくなり、音も大きく明瞭になりました。改造前は少しコモっていて、それはそれで悪くありませんでしたが、やはり必要な電圧を供給した音の方が使いやすいでしょうね。

METAL MASTER SMM-1も改造する

手元にメタルマスターもありますから、同様の施術を行います。

電圧降下に気づくきっかけとなったのはこのメタルマスターで、並べてみたときにこれのLEDだけが暗かったのです。

しかしこの部品点数はすごい。しかも歪み系にステレオ出力を搭載する意義がよく分からない。こんなに手間のかかったエフェクターが新品3000円で入手できる時代があったとは・・・。ちなみに私は中古2750円で購入した。

メタルマスターの場合降圧用の抵抗はR28で、抵抗値はステレオコーラスと同じく150Ωだった。

ジャンパーに交換。

元々やけにノイズが大きかったメタルマスターだが、改造後は収まった。決定的な要因かどうかは分からないが・・・。

TUBULATOR MTE-1も改造する

最後の一台はチューブレーター。他と比べて回路は簡単だ。早速ACアダプタと繋がる抵抗を除去しよう。と思いきや・・・。

TUBULATORの当該箇所は0Ω抵抗に置き換わっていた。調べてみたところ、どうやらARIONの後期製品では対策済みのようだ。手持ちのARIONエフェクターの中では最も新しかったのだろう。

まとめ

ACアダプタ使用時と電池使用時で明らかにLEDの輝度が異なるのであれば、旧製品の降圧回路を疑ってみるとよい。DCジャックのアースと繋がる箇所に抵抗が入っているはずだ。

別に無理にはんだごてを使って改造せずとも普通にACA電源を使えば良いし、9V電池を使っても良いのだけれど。

ただ私はペダルボード構築の都合上、やはり他と同じPSA電源を使いたかったため改造せざるを得なかったのである。

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