基本的に、ジャズマスターは不人気ギターです。
これは、本来ターゲットとしていたジャズギタリストに好まれなかったことが原因です。
ジャズ市場に受け入れられなかった理由は明白で、当時のジャズギタリストの多くがフルアコースティックギターの豊かな鳴りと丸い音色を求めていたのですね。ほとんどのジャズギタリストは、GibsonのES-175やL-5などを使用しており、ソリッドボディのギター自体が稀でした。まあジョー・パスがジャズマスターを使っていたという例外もありますが、一般的ではありません。
ソリッドボディでシングルコイルピックアップを搭載したジャズマスターがジャズ市場に挑むのは、あまりに無謀だったのです。音を出してみれば分かりますが、明らかにジャズ向けの音ではありません。
とはいえ、ジャズマスターの回路はジャズに適合するためのアイデアが満載です。特にプリセットトーン回路においては、ポットの抵抗値とキャパシタの静電容量がより小さく設定されています。これらは全て、より丸い音を出すための工夫なんですね。
このように、ジャズマスターはストラトやテレキャスよりは”多少”ジャズに向いた音を出しますが、それでもジャズギタリストの要求を満たすことはありませんでした。
アンダーグラウンドのヒーロー
ジャズマスターは、現代ではサーフミュージックやロックで好まれるようになりました。特に一部のオルタナファンからは圧倒的な支持を得ていますね。
ギターの人気は、必ずしもその優劣を示しているわけではなく、誰がどのジャンルで使用したかという側面が強いのです。
今ではフェンダーのギターの中で、テレキャスター、ストラトキャスターに次ぐ三番手に位置していますからね。一時期カタログから消え去ったほどの不人気を考えると、現在の地位は十分すぎると言って良いでしょう。フェンダーのヘリテージシリーズにはテレキャスター、ストラトキャスター、ジャズマスターしかありませんからね。その座を確保しているだけでも大健闘です。ジャガーやムスタングはその争いから脱落しています。
不人気だったギターが逆襲に転じたというのは、まさに反逆の象徴のようで面白いですね。
河原木桃香の使用モデルについて
「ガールズバンドクライ」で河原木桃香が使用しているのは、サイケデリズムの「サイコマスター」ですね。プリセットトーンが省略され、白いノブとピックガードが印象的なモデルです。モディファイされがちなブリッジ周りは、本家と同様にスパイラルサドルを搭載しています。
この真っ白でミニマルなノブは、「Daka Ware」の「Cupcake Knobs」です。アメリカのシカゴ製で、非常に貴重なパーツです。通常ノブにはポインタが付いていますが、これらのノブは付いておらず、まっさら。とても珍しいタイプですね。これだけでも入手できれば、「ガールズバンドクライ」の雰囲気を味わえるのですが・・・。
全く同じサイコマスターを入手するのは、まあムリでしょう。そもそも国産ハンドメイドで数が少ないためです。こんなにトガったモデルがアニメに登場するのは珍しいことだと思います。
今後アニメの影響で需要が高まり、オーダーが集まれば再生産される可能性もありますね。
祈って待ちましょう。
【追記】オーダーすれば、入手できるかも・・・?
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