私が購入したグレッチの型番はG6120-1960です。日本製のGシリアルで、2003年~2005年あたりに存在したモデルだと推測できます。
型番からすると、1960年当時を再現したモデルでしょうね。シリアルはJT0510XXXXです。
シリアルの読み方はJapan,Terada,2005,10,XXXXといった形。日本の寺田楽器で2005年10月に製造されたXXXX本目のギターということですね。
6120ナッシュビルといえばグレッチの代表的なモデルで、チェット・アトキンスのシグネチャーモデルです。6119テネシアンも6122カントリージェントルマンも同様。シグネチャーモデルがそのままメーカーの代表機種になってしまったという点は、ギブソンにおけるレスポールと全く同じです。
グレッチは思いつきで仕様がコロコロ変わりますので、バリエーションは多岐に渡ります。本当に1960年製と全く同じ仕様なのかと言われると、私は当時を知る人間ではないので全く分からないのですが・・・。
とはいえ細部の一つ一つが非常に気に入っておりますので、特定の年代の再現度は重視しておりません。自分の好みに合致しているのでOKです。
シリアルはG付きか?
型番の先頭にGが付くかどうかは大事な要素で、これの有無でボディシェイプが異なります。グレッチが日本製に切り替わったのは1989年以降で、Fenderに買収されたのが2002年末です。その後2003年からシリアルにGが付くようになり、シェイプが大幅に変更されました。
いかり肩かなで肩か?
左がGシリアル、右がG無しシリアル。
Fender買収以降のGシリアルはボディ左上のカーブがなだらかでなで肩ですが、G無しシリアルはネックから直線的にボディラインが伸びて、急激にカーブしているのが分かります。通称いかり肩です。
ギブソンのアコギではラウンドショルダーとスクエアショルダーと呼ばれています。
カッタウェイ部分の角度も違い、17フレット付近のカッタウェイ開始位置を見比べると一目瞭然です。
フェンダー買収以前のPre-Fender期日本製グレッチは、何故か不人気時代のボールドウィン期のシェイプに寄せているためそうなっているのです。
ボールドウィン期をそのまま引き継いだからなのか、1950年代のヴィンテージを再現するという発想は当時には無かったのでしょうね。
なんでもFender買収後はヴィンテージ品を採寸し直して大幅な設計の見直しを行なったそうです。ボールドウィン期以前のよりヴィンテージライクなシェイプとなったんですね。
良し悪しの話ではなくどの年代を再現したかということなのですが、やはり評判の悪いボールドウィン期のシェイプを再現する合理性は無いため現在の方向性は正しいと言えます。
そんなこんなで、Pre-Fender期のG無しとFender買収以降のG付きでは結構な違いがあるのです。お店でも型番表記が間違っている事がありますので注意が必要です。諸説ありますが、Fender買収以降は品質が上がっているそうです。
そういった事情もあり1989~2002年の日本製は比較的不人気で相場は低めです。
4パターンの年代とシェイプ
- 1940年くらい グレッチ初期 丸みを帯びた小ぶりなシェイプ
- 1970年前後~1980年ボールドウィン期 型枠の売却、火災による紛失で変なシェイプになる
- 1989年~2002年 現行、フェンダー買収前、無印。何故かボールドウィン期の変なシェイプを再現
- 2003年~ 現行、フェンダー買収後、G付き。グレッチ初期のよりヴィンテージライクなシェイプを再現
といった風に分けることができますね。ボールドウィン期は色々あったようで、型枠の売却や度重なる火災で型枠をロストしてしまったと。そのような混乱の最中シェイプが変わってしまったのでしょうね。
イケベ楽器より引用。フルアコのエレキギターはこんな風に型枠にはめて作るそうです。これを失ったらマズいというのは素人目に見ても明らかです。
とまあ色々な理由がありまして、日本製の無印はあまり人気が無く安いのです。6120ですら10万円台で入手可能。
元々何十万円もするギターですから、シェイプを気にしないのであれば1989年~2002年のPre-Fender期はお買い得かもしれません。
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