ベースのペグはギターに比べ大きな力がかかっており、動きが悪くなりやすいです。
日常的なメンテナンスなら軽い注油で十分ですが、指の色が変わるほど力を入れないと回らないようであれば、分解清掃が必要になりますので、今回はその手順を紹介します。
ただしペグは消耗品ですので、交換も視野に入れてください。
ペグの外し方


幸いフェンダー系ベースのペグは単純な構造です。オープンタイプなので分解に悩むこともないでしょう。まずは弦を完全に緩めてペグから外し四隅のネジを外します。
但しこのネジ頭は妙に柔らかく、ナメやすいので注意してください。
一般に押す力と回す力で7:3と言われております。押し付けながら回しましょうね。


ジャズべのペグには欠陥がありまして、それがこのカシメ。
カシメの出っ張りが木部を押しており、プレートが湾曲してしまうのです。あまり大きく曲がっているようであれば交換するしかないのですが、破壊覚悟でプレートを叩いて伸ばしてみるのも一興です。
とにかく、ジャズべのペグが固くなるのは仕様です。
分解する


ヘッドから外れたらギア部分のネジを外します。このネジは少々カタいので注意。ドライバーを使う作業は以上です。
これでプレート、ペグポスト、ギア、ワッシャー、ネジの5つに分解できました。あとはこれを掃除していきます。

このペグはビンテージタイプですから、プレートとツマミを分離することは出来ません。
清掃

少なくとも、何も負荷がかかっていない状態であればスムーズに回るべきです。
しかしこれは、軸の摺動部に鉄粉が蓄積して動きが悪くなっています。

清掃は、台所用の中性洗剤と使い古しの歯ブラシを使います。根気よく磨いていけば案外綺麗になります。
せっかく分解したのでギアも丁寧に掃除します。ペグプレートやペグポストに曲がりがなく、摺動部の摩耗が少なければこの辺りの清掃で改善するはずです。
ガタがある場合は磨き作業が必要になってきますが、ペグは消耗品ですのでどうしようもない場合もあります。その時は諦めて交換しましょう。

目に見えて綺麗になりました。特にガタもないので、ここまでは成功です。
注油


最後に注油が必要です。私が愛用しているのは、ヤマハのスライドグリス。
本来は金管楽器用ですが、ほどよい粘度で細かい隙間にも押し込めば入っていきます。
過剰なグリスはホコリを溜めてしまいますから、厚塗りせずはみ出した分は拭き取ってください。
ラッカー塗装とグリスの相性


ラッカー塗装とスライドグリスの相性が気になったので実験してみました。ヘッドの上の方にグリスを乗っけて一週間ほど放置してみたのですが、全然大丈夫でした。
YAMAHA SG4で調べてみると主成分は書いておりませんが100%化学合成油とだけ書いております。ラッカーとの親和性について断言はできませんが、私の試してみた範囲では全く問題ありませんでした。これからも安心して使っていこうと思います。
以上、簡単な清掃でも意外と綺麗になるもので、以前の半分ほどの力でクルクル回せるようになりました。
チューニングの安定にも寄与しますので、あんまり固いようであればさっさと清掃してしまうべきですね。
ただしペグはどのみち消耗品ですので、どうしてもダメな場合は交換も視野に入れるべきです。そこそこの値段ですが、ペグは重要部品なので妥協するべきではありません。
私のジャズベースはヴィンテージスペックですので、下記のようなリバースワインドです。お間違えの無いよう。
コメント