音楽評

THE FIRST TAKEをクソって言っちゃいけないんですか?

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私も最初の方は見ていたが、徐々にくだらなさを感じるようになり見るのをやめた。

そんな中話題になった、KEYTALKの彼の発言。実際、彼の発言は芯を喰っている。しかし多くの批判を受け、詫びを入れるに至った。まあ彼は音楽関係者なわけだから、謝罪に追い込まれたのも致し方ないのかもしれない。相手は天下のソニー・ミュージックエンタテインメントだからね。

じゃあ私は業界人じゃ無いから言わせてもらおう。THE FIRST TAKEはクソである。

まず、「THE FIRST TAKE」は名前からして一発録りである事をアピールしている。しかし、それが修正ありきという事であれば、その名前は誇大広告ではないだろうか。となると若者を騙してるのは事実だし、看板に偽りありだ。こういう事を言うと頭の悪い人が「皆そんな事は分かった上で楽しんでる!」と自己弁護を始めるが、知った上で騙される行為は別に偉くない。「エンタメなんだから別に良いだろ!」という人、私は誇大広告である点を問題にしている。だったらチャンネル名を「ファーストテイク風」とでもしておけよ。

アーティストのありのままの姿。本物の歌声を、一発録りでお届け。そんな事を匂わせておきながらゴリゴリに修正するのは、演出というには少々悪質だと思う。

最初の頃は少しだけ見ていたが、徐々に違和感を覚えるようになり見なくなった。ガチでないと分かれば、私にとっては単なる茶番であり無価値だからだ。

昔同じようなコンセプトで発足したのが、MTV Unpluggedだ。その他にも、NBCのLate Night With Seth Meyersなど。生演奏に拘ったTVショーは海外には結構ある。若手ロックバンドが明らかに早すぎるテンポで演奏したり、緊張で声が裏返ったり、ドラムスティックがぶっ飛んだり。こういうライヴ感というのは結構楽しい。「失敗でさえも見たい」という心理が働くからこそ需要があるのだ。

しかし残念ながら、日本のTVショーにおける演奏は100%が当て振りだ。私はこれの根本要因を、日本の芸能界が「芸能人」と「アーティスト」を区別しないためであると考える。バンドマンであろうとTVに映れば他の芸能人と同様、台本通りの進行を強要される置物に過ぎないのである。

もちろんこれは日本特有の現象ではなく、海外であっても保守的な放送局にはよくある事である。QUEENでさえも、BBCの番組に出演する際には当て振りを強要され、それに不満を持っていた事はよく知られている。その時の様子が映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも再現されている。

テレビマンにとっては「ライヴ感のある演奏」なんかよりも「予定通りの進行」の方が重要なわけで、それを追求すると当て振りになってしまう。その反動として、生演奏を追求した番組も少なからず存在してきたわけだ。THE FIRST TAKEの問題点は、演出と誇大広告でそれを騙り、視聴者を騙している事にある。出演者もどんどん宣伝臭くなっていったし、結局はガチを装ったフェイクでしかない。そこがクソだ。

KEYTALKの彼がどこまで言いたかったのかは分からないが、それはそれとして、私が思うTHE FIRST TAKEの問題点を列挙した。

最近の人はストレス耐性がとても低く、その結果として対立を極力避けようとする。対立を避けようとするあまり、波風を立てる事を絶対に許さず、批判を全て悪だと見做して袋叩きにする傾向がある。KEYTALKの彼もその渦中に居る。

例えばSNS上の真面目な批判に対し、思考停止したZ世代が「とりあえず褒めましょうよ!」とか言っているのを見て心底呆れた事がある。

無条件で褒め称える事によって何かが良くなると思っているのなら、本物のバカだ。従順に物事を受け入れているだけでは、良いものは絶対に生まれない。悪いものを悪いと言う事は罪ではない。物事には負の部分もあり、衆目に触れた時点で批判はあって当然だからだ。

きっと頭の悪い人たちが、これを見て怒り出すのだろうな。

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