そんな曲は無いと思う。
誰もステージで演奏している生徒のファンではないからである。
好きでもない人たちが、好きでもない曲を演奏する。それで盛り上がれというのは無理な話だ。私だったら、好きな曲をやられた方が腹が立つ。
仮に盛り上がっているように見えたとしたら、それは「盛り上がっているフリ」をしているだけだ。
演るのも学生、聴くのも学生。文化祭のそれは「ライブ」ではなく「発表会」なので、盛況どうこうは関係無いのである。
だからよく愚か者が「文化祭で盛り上がる曲と言えば?」という話題自体で盛り上がっているが、それは考え方がズレている。選曲の問題では無いからだ。
中高生の演奏で、盛り上がれる?
昔Yahoo!知恵袋か何かで、学祭ライブのセトリを相談している者がいた。
「一曲目はバンプで、途中オリジナルを挟んで、アンコールもオリジナルで、〜〜〜なんですけどどう思いますか?」
このように独り勝手に舞い上がっているのである。
そもそも中高生の文化祭程度で何曲もやらないだろうし、超満員の体育館を大いに盛り上げ、鳴り止まぬアンコールが起きることなど無い。そもそもアンコールを想定してオリジナル曲を用意する意味が全く分からない。中高生のオリジナルソングを、一体どんな気持ちで聞けばいいのだろうか。
曲を作って発表するという部分だけ見れば大変に文化的だが、この人は文化祭のステージを自分のリサイタルだと勘違いしているようだった。その独りよがりはまさしくジャイアンリサイタル、聞く人の気持ちなど全く考えていないのである。
中高生の演奏を見た先生や保護者の感想は「うんうん、よく頑張ったね」だ。そこにライブの熱狂など、無い。
真面目に練習の成果を発表すべき
じゃあどうすれば良いのかというと、純粋にやりたい曲を練習して、その成果を発表すれば良いだけだ。
「ライブを盛り上げる」なんて思い上がりも甚だしく、これは発表会なのだから。自分はロックスターで、ファンに向けてライブを演って、会場を盛り上げるのだという思い込みは捨てた方が良い。
文化祭におけるライブは、他の演劇や展示物と同等のものであると考えてみてはどうだろう。
そう考えるとやるべき事は一つで、練習した成果を発表する事が全てである。
私が見てきた痛い人たち
悪い例として、私が見てきたイタい文化祭バンドを紹介する。
手ぶらのボーカル
ギターを持たず、当方ボーカル・全パート募集状態。そんな人に限って歌は下手で棒立ちだから不思議である。簡単でもいいからバッキングを弾いたらいいのに。手ぶらでいるよりは、下手でもギターを抱えていた方が絶対に良い。またそのせいで無駄に人数が増えてしまうのもマイナスだ。
それにギターを持っていない分、ボーカルに対するハードルが上がってしまうから損をする。
歌が下手な、しかも手ぶらのボーカルはタブーであるにも関わらず後を立たない。それは練習が必要な楽器と違って、「歌う事」自体は誰にでもできるからである。
だが勘違いしてはいけない。歌ほど難しいことはない。
楽器を練習する気もない下手なボーカルはクビ候補ナンバーワンだ。代わりにギターの人が歌った方がまだ良い。
5人構成でほぼ全員ギター
中学の頃、天体観測をコピーしている人たちが居た。うち4人はギターを持って同じリフを演奏していた。ベースは1人、なんとドラムは0人。ゼロはすごい。
しかもバックに流しているのは打ち込みの同期音源とかでなくCD音源。これは文化祭あるあるで、ドラマーも打ち込み音源も確保できなかったのである。
これは吹奏楽部のパーカッションに頭を下げるか、トラックメーカーを確保した方が良かったと思う。音楽の先生からサポートは受けられなかったのだろうか。こんな状態で壇上に上げてしまう実行委員にも問題がある。
スタジオでイキってタバコを吸って出禁
バカ丸出しである。
歪ませすぎ
高校の文化祭にて。ギターボーカルは林檎とか好きそうな感じの線の細い女の子だったが、歪ませすぎでマジで何の曲か分からなかった。
多分事変か何かだったのだと思う。
歪み過ぎなギターがギャリギャリ鳴って全ての音を食っていた。逆にどうやったらあんな音になるのか、今でも不思議だ。狙ってもできない不快なサウンドを生み出すのはある種の才能だと思う。ノイズ系でもやったら良かったんじゃないだろうか。
SUM41
高校生の頃。陽キャたちがヘルソングを演奏していた。高校生にしては結構上手くて、少なくともちゃんとヘルソングだと分かったし、それなりに盛り上がっていたようにも見えた。
しかし肝心のボーカルはダブりで、そのせいか陰で笑われていた。「サドンリーwwwwwサドンリーwwwww」とかいって。
陽キャがやってもこの体たらく。正直気の毒だった。
とりあえずモンパチ
私の世代だと青パンをやる人が多かったと思う。しかも全部パワーコード。パワーコードじゃない所もパワーコード。いっそ1〜2弦を外しておいたらエコじゃないだろうか。
しかし全部パワーコードでモンパチをやるというのは正しい戦略だ。簡単に弾けるし、人から理解されやすい音楽だからだ。
だが私が見たモンパチは途中までは普通に演奏していたのに、ボーカルが勘違いを起こし「立ってー!(怒)」と客を煽り、終いにはピック投げを敢行した。
ピックは体育館の床をコロコロ転がっていき、憐れんだ仲間が拾ってあげていた。
ちなみにピック投げは私もやった事がある。壇上でギターを弾く機会なんて二度と無いと考え、家中のピックをかき集めて餅まき気分でジャラジャラ撒いたのである。存外に気分が良かった。
何人かは拾ってくれたようだった。何十枚か撒いたので、今でもライブハウスのどこかに転がっている気がする。
女装してDon’t say “lazy”
実際に見た事はないが、けいおんの放送当時はYouTubeやニコニコに腐るほどアップロードされていた。今では殆ど消えてしまっているのは、やはりいたたまれなかったのだろう。
演奏に自信のない人はコスプレで誤魔化そうとする傾向にあるが、別に誤魔化せてはいない。それどころか大抵滑っているので余計にタチが悪い。
スマホで歌詞見ながら歌う人
論外である。人前で演る以上は仕上げてくるべきだ。歌詞も覚えていない状態で壇上に上がるやる気のなさが問題だ。カラオケじゃあるまいし。
どうしてもというのならば、譜面台にiPadでも立てておけば見栄えは良い。プロならプロンプターを使うところ。私は極小のカンペをマイクスタンドに貼り付けておいた事はある。というかセトリを足元に置いておく事くらいは当たり前にあるので、とにかく手元を見ながら歌うのはダサいと認識しよう。
まとめ
色々言ったが、基本的に練習の成果を人前で発表するという行いは尊い。一生懸命な人を私は応援したい。ただ文化祭程度で、「オレが会場を盛り上げる」「ウケ狙いで行こう」なんてのは自意識過剰だし、寒い。さっきも言ったが、文化祭ライブというのは展示品の一部であるからだ。下手である事は問題無いが、不真面目なのは大問題だ。
ではどうするべきか。ただ練習して、成果を発表するだけで良いのである。
今は6月。文化祭が9月〜11月にあるとすれば、今ならまだ間に合う。メンバーを集めて、夏休みはフルに練習して、3ヶ月くらいやれば一曲くらいは演奏できるようになるかもしれない。
「誰でも簡単に弾ける」みたいなのは鵜呑みにしない方が良い。楽器は簡単ではないからだ。
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